-描いた夢-



次の日の十時、約束通りマダラとセンリはあの場所に来ていた。二人は柱間と扉間より先に到着した。


センリが小屋の外でふーっと深呼吸していると小屋の戸が開き、マダラが顔を覗かせた。


「センリ」


センリが振り向く。どうやら柱間と扉間が到着したようだ。センリは小走りで小屋に向かい中に入るとやはりそこには二人の姿があった。


『おはよう二人とも』


にこやかに挨拶をすれば柱間も同じように笑みを返す。扉間は短く返事をしただけだったが、センリは嬉しそうに頷いた。


『少し元気が出たみたいでよかったよ』


扉間の表情はいつものそれだったが、顔色は良く、センリは満足そうだった。


「あの飴玉……お前のチャクラを練り込んであっただろう」


するとセンリはくすくす笑って扉間を見る。


『あれは企業秘密です!教えられませんよ!』


扉間は眉を上げたが、仲が良さげな二人の姿に柱間は少し面食らった。それとは逆にマダラはしかめっ面で楽しそうなセンリをじっと見ていた。


『あっ、柱間。地図見せてよ!』


しかしセンリの言葉に柱間が集落の地図を描いた巻物を取り出したので、マダラはそちらに集中する事となった。テーブルに広げ、四人が覗き込む。


集落の設計図はかなり細やかに描かれていた。ここまで細かく描いたものをこの短期間でよく出来たものだと一同感心していた。


『これだけたくさん建物があればもっと増えても大丈夫だね!』


今現在でもいくつか一族が同盟に参加してきているがこの広さならばかなり余裕もあった。


「この先もっと仲間に入る一族が増えるだろうと予想して描いてあるからな。これは子どもたちが学ぶための学校にしようと思ってる」


柱間が地図の一角を指差す。とてもいい考えだとセンリは思った。


『んん、なるほど。で、この辺が住宅街か……』


切り立った崖を中心にして住宅街と商店街のようなものが並んでいる。道幅は広くはないが、この世界には自転車も自動車もないのでそれを考えれば余裕のある広さだ。


「それで、大工は雇ったのか?」


マダラが地図から顔を上げて柱間を見る。柱間は首を横に振った。


「いや、設計図は頼んだがそこまではまだぞ……何せかなりの人数もいるだろうからな」


腕を組んで柱間が唸る。確かにこれだけの集落を作るにはかなりの人数と時間を要する。
するとセンリが突然微笑む。


『私がやるよ!』


マダラも柱間も扉間もどういう事かとセンリを見た。


『また柱間の木遁をくれたら、大体つくれるよ!さすがにカーテンとかそういう細かいものまではつくれないけど……』


柱間の顔が輝く。扉間とマダラは信じられないようだった。


「こんなに広い範囲につくれるのか?」


センリは深く頷く。


『とりあえずこの設計図通りにやればいいんだね?じゃあさっそくやろう!』


センリの言葉に三人は外に出た。しかしマダラは少々心配な事があり、センリに近づき囁いた。


「センリ、大丈夫なのか?あまり力を使いすぎると……―――」


マダラはセンリがカルマの力を使いすぎるとまた眠ったまま起きない状態になるのではないかと危惧していた。だがセンリは笑みを浮かべたままだ。


『大丈夫!最近だと、どのくらい力を使えるのか分かるようになったし、この呪いともいい感じに共存出来てる気がするから』


その言葉に嘘はないようなのでマダラは安心した様子だった。

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