- ナノ -

-描いた夢-



忙しくなる。
マダラの言葉通りに次の日から戦争をしていた時以上にうちは一族は慌ただしく過ごすことになった。

新しい集落へ移動するため今までの集落を整理する。長年過ごしてきた家を離れるのはセンリにとって少し寂しくも感じた。


マダラと柱間、それから扉間は時々集まって何やら話をしているようだったし、着々と新たな集落作りも進んでいるようだった。センリもたまに相談に乗ることはあったが、なるべく柱間たちに任せたくて、イズナと集落に残り皆への指示を出したり片付けを行ったりした。


大名のところへマダラと柱間が話をつけに行ってから一週間後にはうちはと千手が手を組んだという事は他一族に知れ渡っていた。忍界最強と言われる二つの一族同士が手を組んだことは思っていた以上に世に影響を与えた。

なにせうちは一族と千手一族が束になってかかってきたら他の一族はひとたまりもない。それに戦争を終わらせたいと願う忍たちは想像していたよりも多くいたのだ。センリは千手一族以外とはあまり戦った事が無かったので分からなかったが、名のあるいくつかの一族から仲間に入れてほしいと申し出があったようだ。


戦いは沈静化していくだろうとの柱間の予想通り、休戦協定の効果はかなりはやく忍界に染み渡って行った。


センリは千手一族の集落へも何度か出向いた。今まで戦場でしか見た事のなかった忍たちと明るい会話を交わすことはセンリにとってとても楽しかった。センリの天真爛漫な奔放さにすぐに千手一族の者たちは慣れていった。センリの存在は今までのうちはと千手の確執をゆっくりとなくす為の重要なものだった。


―――――――――――――

幾日かバタバタと過ごしていたある日の夕方。マダラとイズナは居間で家にあるクナイなどの武器を集め整理している時、センリは集落の中を歩き、家に向かっていた。

もうすぐ着くという時、突然センリの前に人が現れた。本当に突然だったがそれはセンリもよく知る人物、扉間だった。



『扉間くん、どうしたの?』


時々扉間はこうしてセンリの前に現れるので、今回も飛雷神で自分のところに飛んで来たことを理解してセンリは訪ねた。扉間はもちろん忍装束ではなく普段着だ。


「兄者からの伝令がある」


扉間はいつもの調子で言った。センリは何かと聞き返す。


「新しい集落の現時点の構築図が仕上がったから確認してもらいたいとの事だ。明日十時にあの場所で待つ」


大工に頼んでいたがかなり早い仕上がりにセンリは驚く。しかしすぐに嬉しそうに笑った。


『随分早いね!分かった。マダラと一緒に行けばいいんだね?』


扉間は小さく頷く。すぐにまた千手に飛ぼうとするが嫌にセンリが自分をじっと見ていることに気付く。


『扉間くん、体調悪いの?』


突拍子もない言葉に少々扉間は驚きながらも図星をつかれて動揺した。センリはいつもの扉間との微妙な変化を見逃さなかった。


「まあ…ここのところ忙しいからな。別に心配する程でもない」


素っ気なく言ったがセンリは心配そうに眉を下げ、ふと洋服のポケットに手を入れて何かを取り出す。

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