- ナノ -


木ノ葉隠れ確立期、発展期編

-育ての母として-



アカデミーを一年で卒業する事が決まったのはイタチが入学してからまだ四ヶ月の頃だった。

担当の教員からヒルゼンに報告があり、卒業試験も難なくこなしたイタチは、僅か六歳で下忍となった。自来也達とカカシに続いて最年少だ。


第三次忍界大戦が終息してからはアカデミーの卒業年齢を十二歳と指定していたが、イタチは七歳で卒業する事になった。イタチの実力が卓越している事、アカデミーで学ぶ必要の無い事は教員の満場一致の判断だった。火影であるヒルゼンでさえ感嘆のため息を吐きながら、イタチの実力を認める程だ。

忍としての才ももちろんだがイタチの、凡そ子どもらしくない冷静さと理論的思考は、教師と他の生徒達に不気味さを与える程だった。



早く一人前の忍になりたいが為に急ぎ過ぎている息子の様子に気付いていたフガクは、「仲間の存在というものを分かるようになればいいのですが…」と時々センリに洩らしていた。


ナルトの世話をする中でセンリはこれまでのようにうちはの人間の元に赴いていたが、イタチは会う度に忍として強く、そして聡明になっていっている気がしていた。


しかし卒業の春が来て、イタチが下忍として任務をし始めるとその様子に少し変化があった。

自分が強くなる事に必死で周りが見えていない事もあったイタチだったが、同い年の友が出来ていた。名前をイズミといって同じうちは一族で見た目は活発そうな子どもだったが九尾襲来の時に父親を失くし、早々に写輪眼を開眼した少女でもあった。イタチとは違いまだアカデミーで忍についてを学んでいたが、二人は友として良い関係を築いているようだった。


イタチにはもう一人友と呼べる存在があったが、すでに中忍として様々な任務につくようになっていたシスイは、イタチの憧れでもあった。

大人びた口調は相変わらずだったが、それでも以前よりよく笑うようになった事にセンリは気付いていた。


下忍としてイタチが所属した班の残りの二人は十三歳で、会えば喧嘩腰で話しかけてくる頭の弱そうな男と、何と言っているか分からない女とイタチは言っていたがそれを話している時の顔はどことなく楽しそうでセンリも笑って聞いていた。

任務の間にイタチとは甘味処で会って話をしていたが、時には影分身だと見破られてしまう事もあった。しかしそれでもイタチはセンリと話せる事が嬉しく、文句は言わなかった。


「…恋に、お互いの歳は関係ないと思いますか?」


と唐突にイタチが訪ねてきてセンリは何度か瞬きを繰り返して少し考えた。


「あ、あの、班の一人がそう言っていて…」


イタチは何故か慌てたように言い訳したがそこでセンリはハッと気付いた。


『(あっ…もしかして…班員の子に……)』


イタチは班の子とは六つも歳が離れている事を思い出してセンリは勝手に結論を出し、イタチにニッコリした。


『もちろん関係ないよ!恋愛をするのに、相手の性別だとか年齢だとか見た目だとか…そういうのは全っ然関係ない。大丈夫だよ』

「そうですか…」


安堵したようなイタチの表情にセンリはウンウンと頷いた。

イタチも子どもらしい部分があるのだなと思ってセンリは一人嬉しくなっていた。
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