- ナノ -


木ノ葉隠れ確立期、発展期編

-新しい命-



センリは一気に酸素を吸い込み、ふうふうしながら呼吸を整えたが、マダラは至って変わらぬ様子でそれを見つめていた。


「…こういう事をしたいと思っているかもしれんだろう」

『そんな事…――思ってるわけない、から…』


マダラの言い分に呆れながらもセンリは息を整えて言い返した。


「俺は思っていた」

『それはマダラだけだよ!私を好きになるなんて、よっぽどの人だからね…』

「お前は………一体どうしたら気付くようになるんだ…」


何故か呆れ返っている様子のマダラを見てセンリは不思議そうに黒い瞳を見返した。


「そうやって無防備だといつ襲われるか分かったものでは無いな……」


自分に組み敷かれて抵抗の一つもなく頬を赤らめているセンリを見下ろしてマダラは呟く。


『だから……マダラ以外に私にこういう事する人いないからね…』

「それは俺がいるからだろう」

『何言って…――ひっ!』


センリが腹部に突然冷たさを感じて視線をずらすと、それが上着の裾から入れられたマダラの手だと気付いた。


「俺が側についていれば話は別だが……俺がいない隙を狙って……こういう事をしてくる連中がいるかもしれん」

『そんな事は、…んっ!……ないっ…てば…!』


センリは下着の上から乳房をぎゅっと握ってくるマダラの腕に軽く抵抗する。


「今の若い世代は俺達が夫婦である事を…知らぬ者も多い……尚更危ないだろう……。俺が戦場に行っている間は…誰かにこういう事を…されたか?」


マダラが器用に下着の前のチャックを下ろし、センリの耳の裏辺りに口付ける。マダラが肌に唇を付けながら囁くように話すので、センリはその度に体を震わせた。


『さっ、されるわけ…なぃ、…んっ!……でしょ……!も、もう――――!』


マダラが耳朶を甘噛みしてきたので、センリは身を捩るようにしながら少し抵抗気味に答えた。


「戦場でこういう事をしなかっただけ有難いと思え。俺がどれだけ自分自身を抑えていたか……」

『そっ、それはさすがに、…まずい…でしょ―――!だ、第一、他の人には……見られたくないよ―――』


センリはマダラの肩に手を置き、少し押してみる。それに気付いたマダラは眉をしかめてセンリを睨む。



「抵抗するな。それ以上講釈を垂れるなら、今後は誰かが居ようと関係なくお前を抱くぞ」

『えぇっ!?そ、そんなの無理だよ!』

「こっちは写輪眼があるからな。お前に効果は無いが、他の者は違う。本当に無理かどうか…今度、試してみるか?」

『や、やだ!ダメ!絶っ対ダメ!』

「なら大人しくしていろ」


こうして戯れ合うのは随分久しぶりだったのでどうも羞恥心の方が勝ってしまったセンリは、最後にほんの少しだけマダラの胸を押してみた。だがそんな要求を聞き入れられる筈もなく、鎖骨辺りに這わせられた生暖かい舌の感覚にただセンリは耐えるのみだった。



『マダラ…い、いま、するの……?疲れてるんだからまずはゆっくり寝た方が―――』

「断る。このところご無沙汰だったじゃないか……それに、里の為に戦っていた夫に、褒美くらいくれてもいいはずだ…お前は女神なのだから、恵与は得意だろう?」


快感からくる生理的な涙で僅かに濡れた視界で、マダラがニヤリと笑っていた。


『(ふ、触れていないって……そういう事なの…確かにそう言われれば、そうなんだけど……ん?“けいよって、なんだ…?”)』


センリが返事をしない事に少し気に食わなかったマダラは、出し抜けにセンリの細く白い首に歯を立てた。



『い、いたっ…!えっ、な、なんで噛むの―――んっ、!』

「お前が考え事をしているからだ。随分と余裕そうではないか」


センリは首筋の痛みに一瞬体をビクつかせたが、その後噛み付いた部分を丁寧にマダラが舐めるので、漏れ出てしまう声を抑えるのに必死だった。温かくてしっとりした舌の感触が噛まれた部分を辿ると痛いはずなのに、それと同時に言いようのない快感もセンリの身体を駆け抜けていた。


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