- ナノ -


木ノ葉隠れ確立期、発展期編

-新しい命-



四代目火影としてミナトが忙しく働いている中、里内の様子も戦前の活気を取り戻していた。


ミナトとクシナは終戦間際にひっそりと婚姻をしていた。クシナが九尾の人柱力である事、四代目火影の妻である事を知っているのは忍達の中でも多くはない人数だった。

しかしクシナはミナトが火影になった事がそれ以上に嬉しく、結婚してからは上忍としての任務から遠のいていたが、毎日楽しく過ごしているようだった。



リンとオビトは中忍として、カカシは上忍として毎日のように任務をこなし、共に修業にも励んでいた。

センリは何度かは今までのようにカカシのところを訪れていたが、もうその必要はなくなったのではないかと思っていた。

元々両親を失くして意気消沈してしまったカカシをどうにか元気付けたいという思いで食事を共にしていたが、最近のカカシは父の仏壇にも手を合わせるようになりその悲しみからほとんど抜け出せていた。

センリとしてもマダラと共に里の相談役としての仕事は続行していて、やはり世代の変わり目のなると一層忙しかった。



マダラは特に里内の重要な任務を、センリの方は終戦するにあたって里外の集落の様子を見たり結界を解いたりしていた為、ゆっくりとした時間が取れずにいた。遅い時間に自宅に帰る事もあったり、センリが帰ってこない日も何日かあったので、マダラはその度に大きなため息を吐いていた。

今日はやっと通常通りの夕食後の時間を、二人揃ってとる事が出来ていた。



「ようやく収まってきたが…ここの所里ができてから一番の忙しさだった」

『そうだね。終戦と、世代交代が重なってたからね』


センリは伸びをしながら言った。自分が飲んでいた緑茶を片付けようとセンリは立ち上がるが、マダラがその腕を掴んだ。


『どうしたの?―――』


きょとんとした顔のセンリの体を引き寄せて、マダラはぎゅっと抱き締めた。前線から帰ってきて以来、何だか久しぶりの温もりのような気がして、マダラは安堵の息を吐く。


『大丈夫?疲れた?この間まで戦いに出てたのに、すぐに忙しくなっちゃったもんね』

「いや、それは問題ないが……」

『ぅ、わっ』


突然マダラがセンリをソファの上に倒す。センリは驚いて体に力を入れたが、マダラが押し倒す方が早かった。


「もう何日もお前に触れていない」


怒ったようなマダラの声にセンリは思い返すが、つい先日もこうしてくっ付いていたはずだ。不思議に思ったがセンリが何か言い返す前にマダラが口を開いた。


「戦争の間長く会えなかった事は仕方のない事だが……それでも戦争が終わってからお前は、里外の村の所だ、オビトだクシナだ――それにリンだのカカシだのと………俺と過ごしている時間より、そっちの方が長いのではないか?」

『えっ、そ、そうかな……』


センリにはあまり自覚がなかったが、マダラは納得していない様子で少し困ったような顔を見下ろす。


「大体カカシもオビトも…他の奴らだって、もう子どもではない。あいつらがお前に変な感情を抱いてしまったらどうする」

『へ、変な感情って……マダラは考え過ぎだよ!あの子たちは私を友だちとかお姉ちゃんみたいな感覚で慕ってくれてるんだから…』


何を言っているんだというふうにセンリは困ったように苦笑し、それを見てマダラはムッとして唇を重ねた。生々しい舌の感覚は確かに久々な気がしてセンリは突然焦りを感じた。


『んっ……ちょっ、待っ――――』


センリは顔を背けようとしたがマダラの唇がそれを許さないというように追いかけて、すぐに舌を絡めとられる。柔らかくてあたたかい、懐かしい感覚は、すぐにセンリの中の愛欲を呼び起こした。


『んっ、………は、ぁっ――――』


呼吸の仕方を忘れたセンリが窒息しそうになっていると、ようやくマダラの顔が離れた。
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