木ノ葉隠れ確立期、発展期編
-四代目火影-
『相変わらずだなあ、二人は』
「センリ様!」
音もなく現れたセンリの姿に、リンは顔をほころばせた。
「センリ、何か久しぶりだな。ここ何日か見かけなかったからどこに行ったのかと思ってたぜ」
『うん、ほら…今回の戦争も終わったでしょう?その後の対応とかでちょっとバタバタしててね。オビト、退院出来たみたいで良かったよ!』
カカシ達は知らないがセンリは戦争が終わってからの何日かは休む暇もなく忙しく過ごしていた為、三人と会うのは久しぶりだった。
センリがにっこりすると、オビトはゴーグルを触りながらいつものようにニッと笑みを返した。
「へへ…まあ、オレだからな!楽勝楽勝!」
「……クシナさんにゲンコツもらって死にかけてたくせに」
「いちいちそういう事言うなよお前はぁ!」
クールに返すカカシと怒るオビトのやり取りを見てリンは眉を下げていたが、センリはくすくす笑った。
『クシナは本当にオビトの事を心配してたんだよ』
「心配してるっつーんならセンリみたいにやさしくしてくれりゃあいいのに。暴力的なんだよあの女は!」
『それが、クシナのいい所なの!』
オビトはしかめっ面をして気に入らないというたい度だったが、それも含めての二人の仲の良さだ。
『それに……オビトも、よく頑張ったよ。本当に大切なもの、守りたいもの――見付けられたんだね』
センリは、自分とほぼ同じくらいになったオビトの頭に手を伸ばし、ポンポンと優しく叩いた。オビトは一瞬照れたように目を逸らしたが、その手を払い除ける事はなかった。
『オビトなら出来るって、信じてたよ!ねえ、リン!』
「はい!もちろんです」
リンの心からの笑顔も見られて、オビトは珍しく素直にはにかんだ。
「……顔、ニヤけてるぞ」
「う、うるせーカカシ!にやけてなんか、ねぇっつの!お前だってセンリに助けられたくせに!」
「そうだよ。だからセンリ様には本当に感謝してる」
感情を抑えられる度合いではカカシが何歩も上だったので、オビトは睨みを利かせる事で対抗した。
『ふふ、二人は仲が良いなあ。あっ―――そういえば…カカシ、上忍祝いに何が欲しいか決まった?随分遅くなっちゃったけど』
左目までマスクで覆われてしまったカカシの姿を見てセンリはふと思い出した。
「カカシにはオレの大事な大事な写輪眼をあげたんだから、もう十分だろ」
オビトがカカシをじとっと見ながら言うがカカシはそれを無視した。
「オレは………別に何もいらないです」
予想外の言葉にセンリは驚いたがオビトは「そうそう、たまにはそうやって謙虚にしないとな」と一人で納得していた。
『遠慮しなくていいのに』
「遠慮なんてしていません」
神無毘橋の一件以来少し雰囲気が変わったカカシだったが、その理由がリンとオビトには分かっていた。
カカシはマスクの下でそっと微笑んだ。
「オレは…たくさん大切なものを貰っていますから、センリ様から。だからこれ以上は、いらないです」
カカシらしくない物言いにオビトはびっくりしてカカシを見たが、マスクから見える右目は真剣だった。
『えっ、私何かあげたっけ?…あっ!…あの時のカブトムシの幼虫…?』
「違いますよ。何年前の話ですか…。とにかく、プレゼントはいらないです」
頑ななカカシの言葉にセンリは仕方なく納得した。
『そう?カカシは謙虚だなあ。それじゃあ今度リンとクシナとお団子屋さんに行くから、そこでお土産買ってくるね!』
「そういえば……センリ様も、大丈夫だったんですか?あの後…」
ふと思い出したようにリンが問いかける。心なしか心配そうだ。何秒か目をぱちくりさせていたセンリだったが、あの事かと思い出した。
『マダラの説教ね!うん、大丈夫だったよ!マダラも、私の事が心配だったみたい』
「センリ様もマダラ様も、ずっと戦いに出ずっぱりでしたからね…」
カカシが言うと、リンはほっとして息を吐いた。
マダラがどれだけ心配性かを知っているオビトが神妙な表情でウンウン頷いていた時、思い付いたように突然センリが『あっ』と言った。
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