- ナノ -


木ノ葉隠れ確立期、発展期編

-四代目火影-



波風ミナトが四代目火影に就任するという号外が里に出された日、木ノ葉の林道で元気な声が飛び交っていた。


神無毘橋破壊任務の後、命には全く別状のなかったオビトは、次の週からは嘘のように軽々と動き回っていた。

カカシもリンも小休暇で充分身体を回復出来たらしく、ミナトもセンリも安心していた。



「――何でお前の遅刻癖は直らないのよ。二時間も遅刻してくるって……戦争が終わって写輪眼も開眼したからって、ちょっと調子に乗ってない?」

「何だとコラ!お前のその写輪眼、誰がくれてやったと思ってんだよ!」

「返して欲しいなら返すけど」

「それは無理だってセンリが言ってただろーが!嫌がらせか!」

「冗談だよ。……感謝してるよ、お前には」

「!……何だよ、やっとオレの凄さが分かってきたか?」

「すごく分かった。だから今日の昼飯はオビトの奢りな。リンの分も」

「何でだよ!お前……全っ然オレに感謝してねーだろ!」

「ま、まあまあ、二人共。せっかく戦争が終わったんだから、仲良くしようよォう」



カカシの左目にはオビトの写輪眼が入ったままだった。オビトはそれを自分に戻す気はなかったし、そもそも写輪眼はカカシへの上忍祝いだ。それに写輪眼は片目でも効果を発揮できる。今更自分に移植するつもりは無かった。前代未聞の状況だったが、カカシもオビトも思っているよりそれが嫌ではなかった。

あの任務を機に二人の距離が縮まったのは確かだったが、未だに素直になれないカカシとオビトの仲裁をリンがするという関係が続いていた。いつも通りの、日常だ。



「でも…ホントに、センリ様はオビトの命の恩人だよね。あの時のセンリ様、ホントに凄かったんだから」


商店街に向かって歩きながらリンが二人に言った。


「あの後からリンはそればっかだな。でも確かにセンリがいなかったらオレは死んでた。あの時…岩が崩れ落ちてくる時、センリの白いチャクラに包まれたのだけは分かったんだ。それで次に目が覚めたら病院のベッドの上、体は元通りになってるし、カカシもリンも泣いてるし……」

「オレは泣いてない」

「ハッ、よく言うよ!“オビト!よ、良かった…”って言ってオレに泣きついてきたくせに」

「その写輪眼ちゃんと見えてるか?幻覚でも見たんじゃないか?」

「お前は…!すぐにそういう事を…」

「二人とも、落ち着いてって…――」


また始まりそうになる二人の喧嘩をリンが止めようとした時、三人の前に白い髪がふわりとなびいた。


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