- ナノ -


木ノ葉隠れ確立期、発展期編

-四代目火影-



今回の終戦の際、ヒルゼンは和解を最重視して戦争相手の岩隠れに一切の賠償を請求しなかった為、ダンゾウを含めた主戦派の反発を受けてしまった。

その代償としてヒルゼンは火影の座を降り、次の世代に引き渡す事を決めた。


平和条約が結ばれると上役と上層部達ですぐに四代目火影を決める会議が行われた。



「誰か、四代目火影に推薦したい者はおるか」

ヒルゼンの言葉にすぐさま秋道チョウザの手が上がった。


「次の火影にはセンリさ……―」

『私かマダラ以外でね』


火影を決める度に幾度も言われてきた台詞をセンリは途中で止める。チョウザは眉を寄せてマダラを見たが、その首が横に振られたのを見て手を下ろした。


「それならば戦争中に名を馳せていた者……うちはフガク……自来也様などはどうです?」


忍の一人が続けて言うと他の者達も納得したように頷いた。


「うちはフガクは、これより先も警務部隊長として動いてもらいたい。フガク自身もまだ様々な経験を積みたいとの事じゃ」

『自来也は「ワシには無理!」、の一点張り』


ヒルゼンに続いてセンリが言うと、また忍達は唸り始めてしまった。正直フガクよりも、奔放で旅をするのが好きな自来也の方が望みは薄い。



「ヒルゼン、お前は誰か推薦者がいるのか?」


マダラが問い掛けるとヒルゼンは伸びた髭を触り、数秒後、口を開いた。


「ワシは、波風ミナトを推薦したいと考えております」


ヒルゼンの言葉にマダラはやはりな、という表情をしたが、周囲は少しざわめいた。否定のざわめきというより、成程なという意味合いだ。


「自来也の弟子か……。しかし…黄色い閃光はまだ二十三歳……若過ぎはせんか?」


コハルがヒルゼンに問い掛けたが、その意思は変わらなかった。


「若年ではあるが名声も力も十分じゃ。それに、人を纏める力も聡明さも兼ね備えておる。この戦争を終結に導く事にも大きく関わっておった」

「まあ、確かに今回の戦争の締結はマダラ様とセンリ様に加え波風ミナトの力が殆どだとは思うが…」


ホムラはそれなりに納得した様子で頷いていた。他の者達も囁き合っていたがヒルゼンの意見に反対している声ではなかった。

しかしその時口を開いたのはダンゾウだった。


「ワシは大蛇丸を推薦する」


突然の言葉に忍達のざわめきが止まり、ダンゾウに集中した。


「これからの忍の世を纏めていくには、今の世に変革をもたらす事の出来る者が適任―――」

「駄目だ」


ダンゾウの言葉に即答したのはマダラだった。ダンゾウの目元が僅かに歪む。


「確かに大蛇丸の忍としての才は認める。その探究心もな……しかし、あいつには人徳が無い。大体、戦争中何度か任務を放棄し、行方不明になっていたというではないか。あいつはお前の部下だろう。一体何をしている?そんな者に里長を任せられん」


マダラの鋭い目と意見に、さすがのダンゾウも悔しげに瞳を伏せた。他の忍達もダンゾウに賛成するものはいなかった。


『……それなら、里としてはミナトを次の火影に推薦するって事ね』


センリの言葉に忍達は皆頷き、同意した。
ダンゾウだけが眉をひそめ悔しそうに地面を見つめていたが、その他は満場一致だった。
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