- ナノ -


木ノ葉隠れ確立期、発展期編

-第3次忍界大戦-



センリは草隠れでの件があってからは、改めて国境付近の村や集落、小さな隠れ里にはかなり気を配るようにしていた。今回は特に火の国と土の国を結ぶルートに存在している所には直接出向いて話をし、結界を張ることも多かった。

雨隠れ周辺に出向く時には、センリはかつて共に過ごした、そして今はもうこの世にはいないだろう子どもたちの事を思い出していた。


『(弥彦達と過ごしたのも、確かこの近くだったっけな……)』


濡れた地面が、センリが歩く度にピチャンと悲しげな音を立てている。小雨が降る中、センリは小さな村を訪ね、自里や他里の忍達から酷い事をされてはいないかと確認していた。特に忍ではなく一般人が暮らすところは念入りに確認しなくてはならない。


「前回の時よりだいぶマシさ。隣の村ではアンタが結界を張ったおかげで今回は全く被害がないってよ。そこらの忍者が全員アンタみたいな人だったらいいのに……」

村長がやれやれとため息をつきながら言った。


『勝手に戦争を始めて、関係の無い人たちに辛い思いをさせて……本当にごめんなさい。……ううん、こんな事は謝って済むことじゃないよね…でも、ごめんなさい』


巻き込まれる者達の事を考えれば謝るという行為自体が許されるものではないと分かってはいたが、それでもセンリは謝罪せずにはいられなかった。なにせこの世の戦いの大元の原因は自分自身にもあると思っていた。

村長は心からの哀しみを見せるセンリを見て首を横に振った。


「それでも本当に、昔よりはずっといいんだよ。まあ雨隠れを治めてる―――なんて言ったかな―――半蔵、とかいう忍がいる限りあの里自体はそこまで影響もないだろうしさ」


半蔵、という言葉にセンリはまたふと思い出した。


『そういえば…この村の近くでオレンジ色の髪をした男の子とか、赤い髪の男の子とか…それから紫色の髪の女の子とか…そういう子たちを見た事ない?』


そう問いかけると村長は顎に手を当て斜め上を見ながらウーンと考える仕草をした。


「この辺で?うーん……オレは見た事がないねえ。知り合いかい?」

『そっか……ありがとう。ちょっと昔会った子たちだから気になって』


今も半蔵がいる事、それからあんなに目立つ子達を見た事がないという事は本当に三人は亡くなってしまったのだろう。センリは一瞬目を伏せたがすぐに村長に向き直ってお礼を言った。


雨隠れや草隠れの人々にも気を配りながら再確認した事は、やはり今回の戦争が岩隠れと木ノ葉隠れの一騎打ちのようだという事だ。


他里の一般人の保護をし、戦い、敵を目くらましし、傷ついた人間がいれば処置をする……という事を何度も繰り返しているうちに、瞬く間に時間が過ぎ去っていった。

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