- ナノ -


木ノ葉隠れ確立期、発展期編

-第3次忍界大戦-



しかしガイが思いを入れ替えた矢先、父であるダイが戦場で命を落とした。


ガイ達中忍の子ども三人が遭遇してしまったのは霧隠れが誇る最高峰の武力集団、“忍刀七人衆”だった。数々の妖刀を扱う彼等に遭遇して中忍の子ども三人が助かる筈はない。

そう思っていた瞬間、ダイが現れた。

ダイは息子達を逃がす為に命を落とす覚悟で敵に向かっていったのだ。死ぬ為の戦いだとしても息子を守りたかったのだろう。



その話を帰ってきたガイから涙ながらに聞かされ、里にいたセンリはすぐにその場所に向かった。

霧隠れ、水の国に近い海岸付近の森の中でダイの遺体を発見した。


『(ダイ……)』


辺りの一体は山火事にでもあったかのように燃え、焦げ付いていて、ダイの体も内側から焼かれたように黒く焦げ付いていた。



「八門遁甲の陣か。あの晩年下忍が死門まで開けるとはな……」


マダラの声音には尊敬の念が込められていた。センリは目を瞑ってダイの遺体を前に手を合わせ、白蘭を手向ける。


『ダイもまた、大切なものを守る為に力を使ったんだね……大丈夫だよ、ガイくん達は無事に帰ってきたからね…ありがとう、ダイ』


センリが焼け焦げたダイの上に手をかざすと白いチャクラが遺体を包み込み、ダイの状態を元に戻していった。

マダラはセンリの行動はほとんど把握していたので、綺麗な状態になったダイを背中に担ぎ、木ノ葉隠れへと帰還した。



『でもダイが使った八門遁甲は、霧隠れの…――えっと、』

「忍刀七人衆」

『――そう、その人達を四人も倒すなんて、ものすごい術だったんだね』


ダイを背に乗せ木々をすり抜けながら、センリが心から感心したように言った。下忍があのレベルの忍を四人同時に倒すなど、有り得ない事だ。


「大戦中、体術を極めた木ノ葉の者が開いたのを見た事があるが……自身の限界を超える力を引き出す事が出来る術故に、非常に強力な技だ。並大抵の人間――体術使いでも取得が困難なものだからな。あの時は、俺でさえ近付けなかった」


マダラの方もかなり珍しく感嘆し、そして何処か羨ましそうな様子だった。


『そうなの…。そんな技をダイは何十年もかけて会得したんだね』

「あんな術を見られる事は中々ないからな…敵にいたのなら嬉々として戦っていたかもしれんが……。それより霧隠れの刀使いがすぐ近くまで迫っていた事に気付けなかったのはこちらの落ち度だ。下忍のガキ共にはもっと注意を払うように指導するようにして、里の周辺にも気を配らねばな……」



羨ましげな声音はそういう理由があるのかとセンリは納得したが、確かにマダラの言う事も一理ある。


『そうだね。ダイのした事を無駄にしない為にも…下忍の子達にはいざって時にきちんと逃げられるようにしてもらわないと。それから感知の仕方も教えなきゃ』


センリはもう動く事のないダイの横顔を見て、小さく呟いた。
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