- ナノ -


木ノ葉隠れ確立期、発展期編

-死した白い牙と新たな世代-



同じ年にはヒルゼンの交渉により木ノ葉隠れと砂隠れが同盟を組み、他里との初の合同演習が行われた。

砂隠れとの長い戦いを体験してきたマダラは警戒した様子だったが、演習はそれ程滞る事なく無事に終了した。徐々にではあるが他里の情勢も分かるようになって来ていた。



ミコトとフガクが婚姻して少し経つと二人の間には息子が産まれた。名をイタチと言って、新しい命の誕生にはミコトもフガクも、そしてセンリも喜んだ。



『うわあ、かわいい。お目目がぱっちりですねえイタチは〜』


生まれて間もないイタチを腕に抱くと赤ん坊にも関わらず整っている目鼻立ちがふにゃりと崩れて、センリは産まれたばかりのフガクを思い出した。


『フガクの赤ちゃんの時に似てるね!』

「ふふ、そうですか?」

『うん!フガクも産まれたばっかりなのにすごくキリッとしててね。可愛かったなあ。ほら、イタチもすごく可愛いね!…あっ、いや、かっこいい、かな?』

「まだ赤ちゃんですから、可愛いでもいいですよ」


母親、父親の次に赤ん坊を抱かせてもらうのは少しおかしな感覚もあったが、生まれて間もないイタチがまだ殆ど見えていないだろう目を必死に動かし自分を捉えようとする様を見ていると嬉しいような感動の方が上だった。


「センリ様は赤子の扱いに本当に慣れていますね。お父さんに抱かれた時はあんなに泣いていたのに」

『ふふっ、フガクは頑張ってイタチに気に入られようと怖い笑顔するからびっくりしちゃったんだよ』

「本当にそうです。あの時の顔ったらもう…」


自分とマダラの間に子どもが生まれる事が無いと分かっているからこそ、その分こうして赤ん坊に触れられる事はセンリにとっての幸せでもあった。


『これから色んなものいっぱい見ていってね、イタチ』


イタチは大きな瞳をキラキラと輝かせてセンリの顔辺りをじいっと見つめていた。そして数秒後、可愛らしいゲップをした。


『ふふっ、よっぽどミルクをいっぱい飲んだんだね』

ミコトもセンリも楽しげにクスクス笑った。

新しい命はいつの時代も輝いていた。
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