- ナノ -


木ノ葉隠れ確立期、発展期編

-死した白い牙と新たな世代-



強くなりたいというオビトだったが、先にその乏しを見せたのはカカシの方だった。

アカデミーに入学して半年も経たない内にカカシは下忍になったのだ。六歳でアカデミーを卒業し、下忍に昇格したのは綱手や自来也、大蛇丸以来だった。


元より忍の才に秀でていたカカシは入学直後で卒業試験を余裕で合格する程の実力があると教員が判断し、ヒルゼンの目の前でその力を遺憾無く発揮しその場の上忍も文句無しで昇格となった。

それを聞いて驚いたのはセンリだけではなく、オビトや同級生も同じだった。特にカカシをライバル視していたオビトは悔しくて祝いの言葉をかける事なく去ってきてしまったくらいだった。


幼い頃から想いを寄せていたリンがカカシを憧れの目で見ていた事もあり、オビトの心は悔しさでいっぱいだった。


「オビト、すごく悔しそうでした。でも、早くカカシに追い付きたいから頑張るって、火影になる為に頑張るって言ってました」


ベンチに座りながらリンから話を聞いて、センリはその頭を撫でる。


『そっか。二人はいいライバルだね』

「はい。私はそれを応援したいんです」


カカシに憧れを抱く一方でリンはオビトの事も気にかけていた。リンの存在はオビトにとっても大事なものだと分かっていたセンリはその関係が上手くいく事を祈っていた。


『リンが応援していてくれたら、きっとオビトも喜ぶよ』


センリに頭を撫でられて戦化粧をした頬に赤みを含んでリンは「はい!」と大きく頷いた。


『勉強の方はどう?リンは頭良いから物足りないんじゃない?』

「そんな事は、ないです。でも、この前のテストでは満点を取れました!」

『えっ、ほんとに?すごい、リン!頑張ったんだね!』

「私も早く一人前になりたいですから」


リンにとってセンリは悩みを打ち明けられ、それでいて安心できる不思議な存在だった。



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