木ノ葉隠れ確立期、発展期編
-死した白い牙と新たな世代-
オビトには二年ほど前に仲良くなったのはらリンという友人がいた。二人共に来年からはアカデミー生になり、忍を目指す子どもだったが、リンの家系は忍者の血筋ではなく両親が農家を営むごく普通の子どもだった。
リンは、オビトが公園で一人で遊んでいたところ声をかけてきた優しい少女で、頬に描かれた戦化粧とくっきりとした瞳が印象的な子どもだ。
『二人とも、もうすぐアカデミー入学だね』
「はい!これからちゃんと忍者になるための勉強が出来ると思うと…楽しみだけど、緊張します。まずは入学試験、頑張らないと」
「リンなら入学試験なんて楽勝だよ!」
忍の子ではなかったがリンは礼儀正しく、五歳にしては気が利く少女だった。よくオビトと共に遊びにも出掛けていたが、忍者になるという夢を見て努力もしていた。
『オビトはリンが優しくしてくれるから、とっても喜んでるよ』
初めての友達という事もありリンの事を非常に気に入っているオビトは、最近はいつもリンの話をしていた。
リンはセンリの言葉を聞くと嬉しそうににっこりした。
「オビトはちょっと泣き虫な時があるけど…でも、とても頑張りやさんなんです」
そう言うリンはまるで母親のような慈愛に溢れているように見えて、センリはふっと笑みを零した。オビトの見えない努力を応援してくれるリンの存在は、この先もきっと大切なものになっていくだろう。
オビトの方はは楽観的なところもあったが、最近は同い年のライバルも出来て闘心も燃やしていた。
「あのいけ好かねーカカシに目にもの見せてやるんだ!」
『この前のちょっとした忍術の大会でカカシくんは凄かったもんね』
はたけサクモの息子であるカカシは父の忍としての才を継いだのか、アカデミーに入る前から忍術を扱い実力を発揮していた。それを見てオビトは自分の弱さを改めて確認し、その為にも早くアカデミーに入り忍の事を学びたいとも思っていた。
「まずはカカシをコテンパンに打ち負かして、んで仲間達の中で一番強くなって、その後マダラをぎゃふんと言わせて、そんで最後は火影になってやるんだ!あっ、でも火影になってからマダラをオレの部下にして、そんでオレのために働かせるのもいいかも!」
『アハハッ!それはものすごく大きい夢だね!面白そう!』
「よーし、そう考えるとなんかやる気出てきたぞ!」
『よっ、オビト!その意気です!』
センリはそんな子ども達を心から応援していた。戦で敵を殺す為ではなく、ライバルに勝つ為に強くなりたいと願うオビトの思いが現実のものとなれるよう、いつでも影から見守った。
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