- ナノ -


木ノ葉隠れ確立期、発展期編

-死した白い牙と新たな世代-



事件を境にセンリが見ても分かるくらい、ミナトとクシナの絆は深くなった。

自分の容姿にコンプレックスを抱えていたクシナはミナトの言葉のお陰でどんどんとそれが取り除かれていっている事にセンリも気付いていた。

理由は沢山あった。
男勝りだったクシナがどうしたら大人の女性になれるのか聞いてくる事も多々あり、自分のお転婆すぎる性格を直したいと必死に振る舞いを変えようとしている。意外なところで鋭いセンリにはクシナの努力くらい分かっていた。

その間にも忍としての任務も修業にも精を出しクシナは無事に中忍にもなった。忍としても人間としてもミナトに追い付いて、きちんと認められるようになりたいとクシナは必死だった。

心も体もだんだんと大人になっていくにつれて絆も深まっていく二人を見るとセンリも心があたたかく、そして安心も出来た。



ミナトとクシナの成長もそうだったが、センリに関わる周辺でもたくさんの変化が起きていた。


ミコトから「フガクさんと気持ちが同じだった」と聞かされたのは、ミコトが十九歳になった年の事だった。センリは驚きもしたが、二人の交際の始まりを嬉々として祝い、嬉しそうなミコトの話を聞ける事が更なる楽しみとなった。

そして同じ頃、フガクは次の警務部隊隊長に推薦されそれを受け入れた。二十五歳になったばかりのフガクだが、その冷静さと実力は誰もが認めるものだ。


『断っても良かったんだよ?フガクは里の任務にも熱心だったし、上忍として子ども達の先生になるって話もあったじゃない』

「いえ、いいんです。オレは子ども達の面倒を見る事に向いていませんし…。それに警務部隊は里内の治安を守る大切な存在です。火影様と里の皆がオレに期待をして指名して下さったのなら、オレはそれに応えたいのです」


上忍として弟子を持ってみないかという話も出ていた時期だったが、フガクは警務部隊隊長として里内の平和を守る事を心に決めていた。


『そっか。フガクならきっとかっこいい部隊長になれるね。ミコトももっと好きになっちゃうかも!』

「冗談はよして下さい、センリ様…」


自分の冗談に苦笑いしながら真面目に返すフガクだったが、まだ生まれて間もない頃よく面倒を見ていた事を思い出し、立派になったなと会う度にセンリは感じた。
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