- ナノ -


木ノ葉隠れ確立期、発展期編

-四尾の暴走、そして終戦-



一方センリは、光分身体にリン達を木ノ葉隠れに送り届けるよう任せ、再び前線へと向かっていた。

少し時間がかかってしまったので、センリは光速移動しながら先程来た道を急いでいた。マダラとミナトならば負けるような事はないと思ってはいたが、少々急いで地面を蹴り上げる。

光速移動は扉間やミナトの使う時空間忍術とは違い、場所から場所へと瞬間的に移動出来る訳ではなく物凄いスピードで走っているのと同じようなもので、森や林の中は木々が障害物となり使いにくい。それでも通常の移動よりはかなり早いのは確かだ。


だんだんと森の中の様子が変わり、木々が少なくなってきたところで、その気配は突然訪れた。



『……!?―――』


センリは瞬時に足を止め、辺りに視線を巡らせる。



『これって――――』


センリがサッと地面にしゃがみ込み、手の指の腹を当てる。そして数秒後、予感は確信に変わった。



『―――すぐ近くだ……!』


センリがその存在を感知した瞬間、叫び声のようなものが響き渡った。木々の葉が振動で揺れる。数百メートルと離れていないだろう。


センリはすぐに方向を変え、声のする方へと急いだ。



『(この声……間違いない……)』


センリはその音が何なのか、すぐに分かった。そしてどうか手遅れになる前に、と願いながらその場所へと直走った。



そして木々を抜けた瞬間、それは突然センリの目の前に現れた。


『!』



一瞬隕石か何かが堕ちてきたのかと錯覚するような状態だった。木が生えていただろう場所から、それらが根こそぎ引っこ抜かれている。そのほとんどには、まるで溶けたような痕跡があった。

林の一帯がなくなり、ただの拓けた場所になってしまっていたが、地面はひび割れ、大きな穴も開いている。大規模な戦闘が起きているようだった。

センリが素早く視線を巡らせると、木々の影に隠れるように何人かの負傷した忍達が見える。服装から見て、砂隠れの忍が数人、それから木ノ葉隠れとの忍が十人程だ。誰もが脅え、絶望の表情だ。


そして、それを作り出している要因であろう存在が唸り声を上げながら見ている先には、マダラとミナト…それから雲隠れの忍の姿がある。恐らくそれを制圧しようとしているのだろう、それぞれが臨戦態勢だ。マダラは須佐能乎の腕の部分を出現させている。


そして、彼らの視線の先にいるのは、尾獣化した人柱力だった。
全身が赤黒い、異質なチャクラで覆われ、とてつもないおぞましい力を放出させている。


センリが状況を理解しようとした数秒の間に、尾獣化した人間――と呼べるかは分からないが――それが、大きく口を開けた。



『!』


尾獣玉を出すつもりだとすぐに理解したセンリは瞬時に行動した。

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