- ナノ -


木ノ葉隠れ確立期、発展期編

-新しい時代と人柱力-



戦争が終わってしまえば木ノ葉の里の活気が戻るのは、そこまでの時間を要する事では無かった。


新しい時代が始まると共に、里内のシステムもそれぞれ変わった事があった。


火影を夢見てヒルゼンとライバル関係にあったダンゾウだったが、その座をライバルに譲った後、独自に“根” という組織を作り上げた。里の暗部を養成する施設だとダンゾウは説明し、ヒルゼンも危険を伴う事が無ければ、とそれを承諾した。

ダンゾウの意見が受理されるまではどちらかと言うとマダラの方が渋っていたが、センリが助け舟を出し、不承不承根を組織する事を許した。


戦争が終わってから大蛇丸はその組織に所属し、ダンゾウの配下の元動いていた。暗部養成、という事でその指示はダンゾウが出していたが、そこに集められたのはこれまでの戦争で親を失った孤児達だった。

火の国内でも戦争孤児はそれなりにいる。その子らの居場所をつくるとダンゾウはセンリにも説明していた。それならば子ども達にとっても悪い事ではないとセンリは思っていた。


それに伴っては、里の中にも孤児院が設立された。一人のくの一が戦争孤児をどうにか出来ないかとセンリに相談を持ち掛けたのだ。センリはヒルゼンにも取り合い、早々に孤児院を建て、その元くの一を院長とした。


「センリ様、火の国の木ノ葉隠れの里以外にも孤児院の設立を考えておられますか?」

『そうだね。資金の方は火の国の資産家の人が何人か協力してくれてるから、各国の国境付近にもいくつか作ろうかなと思ってるんだ』

「それは本当に有難いことです!人員の方は何人かこちらで確保出来るので、経営の方はお任せ下さい」

『助かるよ、ありがとう!私も時々分裂体を送ったりするから』


センリ自身も、貰い受けた給料はそういった孤児院や戦時中に被害を受けた小さな集落、子どもの支援の方に多く回していた。幸い、センリ自身はもったいないと思うくらい多額の報酬を貰っているので、マダラもそこには全く文句は言わなかった。


センリの立場は事実上、火影よりも上にある事を分かっている忍達は、何かあればまずはセンリに相談をするという事が多かった。どんなに些細な事でもきちんと話を聞いてくれるセンリの存在は重要なものでもあった。

主にセンリ自身は里内で任務をこなし、センリの分裂体は、火の国内ないしは近隣の国境付近の村々に出向いている事が多かった。こちらは木ノ葉隠れやヒルゼン直々の任務ではなく、センリが自主的に活動しているだけだったが、上層部の何人かはセンリのやっている事は把握していた。


本体の方は、相談役としての任務は未だにマダラと共に継続していたし、ヒルゼンも里内の政治面での重要事項は必ずマダラに伝えるようにしていた。暗部でさえ解決するのが難しいような案件はマダラに任せる事が多く、陰での仕事は殆どマダラに預けていた。


ミナト達の班の担当を終えていた自来也は上忍して里の任務につき、忙しく毎日を過ごしていた。幼い頃は悪戯小僧として手を焼いていたマダラも、大人になり強くなった自来也を頼りにはしていた。

それから警務部隊も何人か新しく増員され、再び始動し始めて里内の治安維持を行っていた。



戦時中にミトが言っていた人柱力の件は、ミトの言葉通り、クシナに移されるよう進められていた。


『やるんだね、ミト』

戦時中より幾分も弱々しくなってしまったミトは、ベッドに腰掛けたままゆったり頷いた。



「ええ、そうね…。ただ今はクシナが下忍になったばかりですから、任務に慣れる頃……初夏の辺りにしましょうか」

『大丈夫?』

「ええ。私はもう少し持ちそうですから」


センリは優しくミトの背中を摩った。里が出来た頃よりずっと痩せたようだ。



「それまでに、クシナにも色々と話をしておきましょう。センリもよくあの子に会ってあげていますからね、あまり心配はいらないかもしれないけれど…」

『これからは本体がちゃんと見られるからね!安心して、ミト』

センリがにっこりすると、ミトの心が温まり、同時にひどく安心した。

残された数ヶ月を静かに暮らしたいというミトの為に、センリは警備の忍にも話を通し、なるべく安定して生活出来るよう取り計らっていた。


それからセンリは、各々が落ち着いた後に分裂体から二年間の記憶を受け取っていた。

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