- ナノ -


木ノ葉隠れ確立期、発展期編

-新しい時代と人柱力-



『ふむふむ、なるほど……―――』



――――――――――――


春の桜舞い散る中、落ちてきた桜の花びらを掴もうとしながらセンリが道を歩いていると、ふとどこからか声が聞こえてきた。

『…?』


センリが声のした方を辿っていくと、木の影から子どもの姿が見えた。誰だろうかと目を凝らすと赤い髪が見え、すぐにそれがクシナだと気付いた。

ミナトはすでに10歳でアカデミーを卒業していたが、クシナの方はまだだった。急いでいる訳ではなかったが、戦時中という事もあり、クシナは下忍になる為に一生懸命努力をしていた。


側にはもう一人子どもがいて、クシナと向き合っていた。


『(あれ……?)』


あまりいい雰囲気には見えずにセンリが近付こうとすると、今度は前方の桜の枝の上に黄色の髪が見えた。ミナトはセンリと同じように、その様子を観察するようにじっと見つめていた。クシナ達はミナトにもセンリにも気付いていないようだった。


『……』


センリは少し気になって、足を止めて木の影からその様子を覗いた。

クシナの前には少し年上の少年がいて、よく見るとその陰に隠れるようにクシナの同級生らしき少年もいる。

少し耳をすませば、三人の会話が聞こえてきた。



「お前か、いつもうちの弟を泣かせてるのは」

「そいつが私にちょっかい出してくるからだってばね!ヘナチョコのくせに!」


少年がクシナの前に進み出て言うと、すぐにクシナは言い返した。からかう同級生をペシャンコにする時のクシナの口調だ。

どうやら弟がクシナに泣かされるのを知った兄が、変わりに制裁に来たようだった。

クシナはいつものように強気だったが、相手の少年はそんな事はどうということはないというふうに勝ち誇ったような笑みを浮かべた。


「なァ、オレ、下忍。すごい忍」


少年は自分の額当てを指差して自慢げに顔を傾けた。クシナは歳上の少年を睨み付けたまま動じない。


「弟をいじめる悪いヤツには説教しておかないとな!」

「!」

『…!』


クシナは危険を察知して、地面を蹴り上げて少年から逃げる。

ミナトはそれを遠くから追うように隠れて付いていき、センリも慌ててその後を追った。


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