- ナノ -


木ノ葉隠れ確立期、発展期編

-第3次忍界大戦-



カカシが上忍に推薦されたのは、ミナト班に配属してから一年も経たない内だった。誰が見てもカカシの忍としての実力は申し分無い。それにヒルゼンはある重要任務をミナト班に言い渡していた。


火影室の机の上に地図を広げ、そこにヒルゼンとミナトとセンリは向き合っていた。


「…岩隠れの忍達が侵略侵攻してきているのは草隠れを通るこのルート……そしてこの辺りの国境付近に攻め入ってくると考えておる」

ヒルゼンが地図上の一部分を指差しながら説明する。センリとミナトはそれを目で追いながら確認した。


「マダラ様からの情報で、侵攻してきている忍の数は千人以上、との事です」

『千人?随分多いね……本当にここに集中攻撃するつもりなんだ』

「しかも以前より侵攻が進んでいますね…」


地図に描かれた線を見つめてミナトは神妙な表情を浮かべた。


「それではこの辺り…敵の後方域に潜入し、物資補給に使われているこの橋を破壊して敵の支援機能を分断するのがカカシ達への任務、だと」


ミナトの言葉にヒルゼンが頷く。
木ノ葉の忍が各国境付近に向かっている事で人手不足になっている事を知って、岩隠れが一斉に千人単位の忍を進軍させ迫ってきていた。そこで数で劣る木ノ葉は敵の補給経路の要である橋を破壊し、形勢を一気に逆転させる作戦をたてていた。


『子ども達だけで大丈夫?いくら上忍に推薦されてるとはいえカカシだってまだ十二歳。その任務なら私が行けるけど…』

「センリ様には前線に…マダラ様の支援に行ってもらいたいのです。このミナトと共に。いくらマダラ様といえど数少ない木ノ葉の忍達と、大軍勢の岩隠れと張り合うのは困難……。それにマダラ様が前線に出てからもう二ヶ月も経っております。これ以上マダラ様一人に負担をお掛けするのは……」


ヒルゼンの言う事は確かだった。いくらマダラであれど疲弊した体で千を超える敵と戦うのは困難を極めるだろう。ミナトは驚いたように目を見開いた。


「前線で二ヶ月もですか?それならば早く支援に行かないとまずいですね」

「そういう事じゃ。ミナトは途中までカカシ達とに付き添い……センリ様は前線まで最短距離の……このルートで向かってほしいのです」


ヒルゼンは別々のルートを指差し、センリはそれを頭に叩き込んだ。


『それならばカカシ達は神無毘橋を破壊した後は、敵とは戦わずに離脱した方がいいね』


センリの提案にヒルゼンが頷く。いくら精鋭のカカシといえど、リンとオビトがいる中前線で敵と張り合うのは無理だ。今回カカシ班には戦闘員としてではなくあくまで妨害工作の為の忍としての任務についてもらう。それがヒルゼンの考えだった。


『それなら神無毘橋を破壊した後、岩隠れに和平条約を取り付けられないかな?この橋が無くなれば岩隠れにとってはかなり大きな痛手になる。それで私達が攻め入ってきた忍達を一気に降参させて、そこで和平交渉すれば……』

「ワシもそう思ってはおります。その為に先ほど砂隠れにも書状を送りました」


砂隠れとは同盟関係にある為、そこにも協力を仰ぎ、一気に戦争を終結させる流れだ。それにはやはりカカシ班の任務達成にかかっている。今里にいる忍ではこの班が一番の精鋭だ。リンという医療忍者も居り、構成的にも良い。


『ミナト、カカシ達をどうかよろしくね』

「分かっています。戦争を終わらせる為にも、この任務は必ず遂行します」


三人は頷き合い、明後日の任務決行に向けてそれぞれ準備を進めた。これが終戦の大きな一歩になるように、それぞれが強い覚悟を持っていた。
[ 49/169 ]

[← ] [ →]

back