木ノ葉隠れ確立期、発展期編
-次の未来に-
「しかし……どうやらあの事件のせいでイタチの方は万華鏡写輪眼を開眼したようだ」
『そうなの?』
予想していなかった言葉にセンリは素っ頓狂な声を出した。
「恐らくな」
センリはその事については聞き及んでいなかったので少し驚いた。万華鏡写輪眼を開眼しながらもあれ程冷静でいられるイタチにも驚きを隠せなかった。
「あいつの精神はなんというか……達観しているな。弟と違い恐ろしいくらいに現状の飲み込みが早い上に、感情を押し殺すのも上手い。あれでまだ十三とは驚くばかりだ」
イタチはこの二ヶ月、サスケのように取り乱すことも、センリの前で涙を流す事もなかった。両親と親友を亡くしたことでその心に悲しみが満ちている事はセンリにも分かっていたが、イタチは弱冠十三にしてそういった感情を圧殺するのが大人よりも達者だった。
『イタチは小さい頃から賢かったし、聡明な子だったからね。サスケとはまた違った意味で心配だね』
「まあ、サスケよりは案ずることはないと思うがな……。あいつには幼少の頃に何度か会ったが、その辺の砂利とは確実に違っていた。一瞬で俺がどんな人間か見抜いていたようだしな」
マダラは、イタチが初めて自分を見た時の、畏怖を抱いているような、それでいてどこか輝いているような表情を思い出した。
センリも確かにそんな感じだったとウンウン頷いた。
『万華鏡写輪眼とかの事、教えてあげた方がいいんじゃないかな?』
「そうだな。書斎にうちはの事を纏めてある巻物があっただろう、それを渡しておいてやれ。俺からも話をしておく。又聞きで間違った知識を覚えられても困るからな……」
そう言ってマダラは立ち上がった。その背中はやはりどこか頼もしくて、マダラに気づかれないようにセンリはそっと微笑んだ。
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