木ノ葉隠れ確立期、発展期編
-次の未来に-
「しかし、今度は俺一人で行く」
「!」
マダラの宣言にオビトが驚いて目を見張った。
「何でだよ?これはうちは一族の問題だろ?オレも共に行く理由があるはずだ」
旅に出る前よりも明らかに成長したオビトは感情を抑えながらも納得いかないという目でマダラを見ていた。
「お前はこの里に残れ」
「!」
マダラは一切表情を動かさずに腕を組んだままオビトに告げる。オビトが文句を言う前にマダラは続けた。
「お前はこの四年で強くなった。まだまだ俺には届きはせんが……しかし今のお前ならすぐに上忍にもなれるだろう」
「……」
「お前は里にいるべきだ、オビト。うちはの生き残り…サスケとイタチの情を解ってやれるのはお前くらいだ。また事件が起きても今のお前ならどうにかできる。まあ一人では難しいかもしれんが………写輪眼は両目揃ってこそ本当の力を発揮する。カカシと二人ならばより強くなる」
淡々と静かに言い聞かせるようにマダラは語り掛け、オビトは開いた口をぎゅっと一文字に結んだ。
自分を信頼しているからこその師の言葉がオビトの胸に響いた。
「それから……ヒルゼンがお前を側に起きたいと…側近を頼みたいと言っていた」
「…!それ、本当か?」
今度は驚きに目を見開くオビトに、マダラは深く頷いた。
「この里を守れ、オビト。うちはの者達の意志が分からないお前ではないはずだ。里に尽くし、志半ばで死んでいった同胞の思いは消えていない。お前はそれを受け継がなければならん。お前が受け継ぐべきものは復讐心ではなく、里を守るというあいつらの意思だ」
『(マダラ……)』
マダラとて自分の一族を無残に殺され、その心は怒りと悔しさに燃えていた。しかしここで感情に流され無闇に行動していては今までの同胞達の思いが浮かばれない。仲間の無念を晴らす為にはその意志を継ぎ、そしてどう行動すれば良いのかきちんと考えた上でのマダラの言葉だった。
マダラの強い瞳を見返してオビトは覚悟を決めた。
「……分かった。アンタが木ノ葉にいない間、オレは必ずサスケとイタチ…いやイタチはオレより強いかもしれねーけど……それから里のヤツらも守ってやる。師匠の言うことは無条件に聞いてやんのが弟子ってもんだからな」
数年前よりもっと強い光の宿ったオビトの瞳を見返してマダラは満足そうに微笑んだ。
「フッ……随分生意気な口を聞くようになったな」
「四年も一緒にいたからな。アンタに似たんだろう」
マダラの嫌味にも笑って返せるようになったオビトはセンリの目には本当に成長したように見えた。
『(二人に任せてばかりはいられない。私も…)』
守らなければならない存在はまだこの里にいる。
センリは二人に気付かれないようにそっと手のひらに力を入れた。
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