木ノ葉隠れ確立期、発展期編

-うちは一族抹殺-



朝日が登ってセンリはチャクラを使えるようになったが、その時にはうちは一族の者の殆どの死が確認されていた。

早朝、任務に出ていたシスイも木ノ葉の里周辺の森で遺体で発見された。


ヒルゼンはしばらくの間イタチとサスケを安全な場所に隔離していたが、暗部の忍全員から怪しい人物は一切見受けられないと報告を受けて一先ずは警戒を解いた。

完全に安全だと判断されるまでセンリはイタチとサスケを自宅で預かった。サスケはアカデミーを欠席していたがそんな事を言っている場合ではない。


イタチの方は一日経てば元の冷静さを取り戻していたがサスケは未だに混乱と恐怖から抜け出せていない。それも当然だった。

突然目の前で両親の死を目撃し、次の日には一族の者達が抹殺されていた。


誰であろうとも不安になるはずだ。


「どうして…!」
サスケが不安で涙を流す度にセンリはその体をぎゅっと抱き締めた。そうする事しか出来なかった。


『大丈夫、大丈夫だから…』


サスケはあの時の衝撃で写輪眼を開眼していたが、自分ではその事実に気付くよりしばらくの間は恐怖の方が上だった。



状況がだんだんと整理され、三日後にはマダラとオビトを除き、里にいたイタチとサスケ以外の一族の者の死が確認された。


あまりにも唐突で、あまりにも残酷すぎた。



センリは自分の不安を押し殺し、イタチとサスケの側にいた。


「一体……一体、誰が、あんな事…!」


サスケは唇を噛み締め瞳を涙で潤ませながら憎々しげに呟いていた。


「犯人は分からない。火影様はもうこの里にはいないのではないかと踏んでいる」

「じゃあ早くその犯人を捕まえに行かないと!」

「今里の暗部達が捜索している」

「そんなの待ってられない!オレが行く!」

「ダメだサスケ。迂闊に動くな。状況が整うまで待つんだ」

「兄さんは…父さんと母さんを殺したヤツが憎くないのか!離せ!」

「サスケ、父さんと母さんの死を無駄にするつもりか。うちはを抹殺するような奴にお前が適うはずないだろう」

「…っ」


悔しいのはイタチも同じだった。
しかし一時の感情に突き動かされて呑まれれば、事態はより困難に向かってしまうかもしれない。

イタチは何とかして弟を落ち着かせ、ヒルゼンからの連絡を待った。
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