木ノ葉隠れ確立期、発展期編
-うちは一族抹殺-
センリが八軒目のうちは一族の者の家を確認している時、イタチがヒルゼンに報告したのか暗部の忍達が続々と現場に現れた。
「まさか……一体なぜこんな…」
カカシは動物の面をしていても分かるくらいに不審感を露わにしていた。
『医療班は?』
「こちらに向かっています。すでに他の暗部達も警戒態勢を敷き、周辺を見回っています…まだ血が新しい。犯人は遠くへは行っていないはず」
まだ完全に被害の規模も全貌も分からない。混乱を避ける為、迂闊に忍達に話を広めない方が良いとヒルゼンは判断し、暗部だけに留めたのだろう。
センリはいても立っても居られず心当たりのあるうちは一族の家全てに駆け込んだ。
『(一体……なんで……!)』
どの家でも忍達の遺体が転がっているだけで、あの時のフガクの他に息があるものは誰一人としていなかった。
その後すぐにヒルゼンも姿を現したが、唇を噛み締め首を横に振るだけだった。
「殺されているのは全てうちはの人間です……念の為にイタチとサスケの側には護衛をつけてきましたが………警務部隊本部で任務にあたっていた者も皆殺されておりました。うちは一族以外の忍は気を失っておるだけでしたが…」
報告を聞いてセンリはぎゅっと力の限り拳を握り締めた。突然の事で状況が分からず、何が起こっているのか理解出来なかった。
「うちはシスイは任務で里を出ております…今日の夜には木ノ葉に帰還する予定ですが暗部の者が捜索中です」
『マダラに…連絡しないと』
センリは震える声を必死に隠してヒルゼンに向かって言う。ヒルゼンは無言で頷き、暗部の忍を呼び出しその旨を伝えた。
その場を暗部の忍達に任せ、センリはイタチとサスケのところに向かったが、二人は身体を寄せあって眠ってしまっていた。
「弟は混乱し泣き叫んでいて、兄は現場に行くと聞かず…止むを得ず眠ってもらいました」
暗部の忍の言葉にセンリは頷き、サスケの頬の涙の跡をそっと拭った。
『(…マダラ……)』
不安と困惑と恐怖とが心を呑み込んで、センリは自分の腕をぎゅっと抱き締めた。怖くてどうしようもなかった。マダラとオビトの無事を早く確認したかった。
その日の夜が明けるまでが異常に長く感じた。
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