木ノ葉隠れ確立期、発展期編
-うちは一族抹殺-
この時間なのでさすがに子ども二人では危ないだろうとセンリも家まで同行する事にした。十三歳になったイタチは少し不服そうだったが、サスケはまだセンリと共にいられると夜道をはしゃぎながら歩いていた。
「見て、今日はすごく大きい満月!」
頭上に浮かんだ月白色を指差してサスケが言った。センリもイタチも歩きながらそれを見上げる。本当に見事な満月だった。
『あ……そうそう、私が前にいたところだとね“月が綺麗ですね”っていう言葉は遠回しな告白の言葉として一部で使われてたんだよ』
「それってどういう事?」
『んー、簡単に言うと“月が綺麗ですね”っていうのは“あなたの事が好きです”って意味になるって事かな』
「ふーん。何か難しいな」
サスケはよく意味が分からなかったようで不思議そうにセンリを見ていた。
「それを考えた人は随分ひねくれていますね。それか相当の照れ屋」
『あははっ、確かに!』
イタチがキッパリと言い切るのでついセンリは笑ってしまった。
チャクラを使えない夜はこうして誰かと一緒だと少し安心した。
その安心感が排水口に吸い込まれる水のようにセンリの心から消え去るのは、イタチとサスケの自宅にたどり着き、玄関を開けたその瞬間だった。
[ 154/169 ][← ] [ →]
back