木ノ葉隠れ確立期、発展期編

-子ども達との日常-



ナルトの入学試験突破を応援し、その傍ら相談役としてヒルゼンと今年のアカデミー生達について情報交換をしたり、一つの事を色々な側面から対応しなければならないセンリの日常は忙しかった。


ナルトが入学するであろう年の代には猪鹿蝶トリオの娘と息子達も一緒だった。それから日向家宗家の娘であるヒナタ、イタチの弟として入学前から期待されているサスケ。ヒルゼンも言っていたが、賑やかなクラスになりそうだった。



ナルトは珍しく猛勉強をして無事にアカデミー入学試験に合格し、桜が舞う季節になると念願の忍になる為の一歩を踏み出した。


アカデミーの入学式は校庭で行われ、ヒルゼンも自ら挨拶に赴く大切な行事だ。その為、生徒の保護者達も呼ばれ、それに参加する事が義務付けられている。

しかしセンリは初っ端からそれに遅刻し、息を切らしながら校庭に到着した時はちょうどヒルゼンの挨拶の真っ最中だった。怪しまれないようそっと生徒を囲んでいる保護者の列の端に加わる。


「三十分の遅刻ですね」

『十時半からだと勘違いしてて……猛スピードで走ってきた』

「相変わらずですな」


隣に立っていた奈良シカクが面白そうにセンリに囁きかけた。
センリは三十人程の生徒の中からナルトを探した。


『(あっ、いたいた)』


ナルトの黄色い髪はすぐに見つかる。センリが来ていない事でソワソワしていたナルトだったが、待ちに待っていた姿を見つけて安心したようにニカッと笑っていた。


「……これからも怠けることなく、勉学と鍛錬に励むように。以上で火影からの挨拶は終わりとします」


ヒルゼンが話し終わって、センリも拍手を送る。

一先ず今日はこの入学式だけで終わりだ。閉式の言葉を教員から聞くと、子どもたちは自分の両親のところに散っていった。ナルトも一目散にセンリのところに走ってくる。


「センリ!中々来ないから忘れたのかと思って心配したってばよ」

『ごめんごめん、時間を間違って覚えてて…。でも何とか間に合ったでしょ!』


二人を見て何人かの親子達が何やら囁き合っていたがセンリは気にした様子もなくナルトの手を繋いで校庭を出た。


それを目で追っていたサスケは自分の父を見上げて不可解そうな面持ちをした。


「ねえ父さん。なんでセンリはあいつの保護者の代わりをしているの?センリはうちはの人間だろ?」


息子のセンリに対する態度を改めさせようとは思ったが何とも神妙なサスケの顔を見てフガクはセンリとナルトの後ろ姿を見た。


「センリ様は非常に優秀な忍だ。一人の人間としても……センリ様にしか出来ない事もある」


サスケは父の言葉を聞いてじいっと考えるようにその顔を見上げていた。


「…あいつばっかり、ズルい」


サスケは無意識に呟いていたようだがフガクはそれに気付いて僅かに苦笑した。


「センリ様はお忙しい人だ。構ってもらえるだけ有難いと思え」


それでもまだサスケは口を尖らせていて、息子達のセンリに対する態度にも困ったものだと思いながらもフガクは何も言わずに息子と共に家に向かった。
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