木ノ葉隠れ確立期、発展期編
-子ども達との日常-
サスケと本気のかくれんぼを三度もした日の夕方、センリはナルトのところに向かうのに少し急ぎ足で歩いていた。
ナルトが住んでいる木造のアパートに辿り着きドアを開けると中は薄暗く、まだ何処かで遊んでいるのかなとセンリが電気をつけるとナルトは部屋のベッドの上にうずくまっていた。
『?ナルト、どうしたの?お腹でも痛い?』
足を抱えて丸くなっているのでセンリが心配して問い掛けたがナルトはセンリを見ずに首を横に振った。不思議に思ってセンリはナルトの隣に腰掛ける。
「………オレはバケ狐じゃない」
『…何か言われたの?』
いじけたようなナルトの口調にセンリはその顔を覗き込む。珍しくナルトは元気の無い顔をしていたが頬の擦り傷が少し気になった。
「みんながオレの事をバカにすんだ………バケ狐だって……お前なんかアカデミーに入る資格ないって」
――――――――――
一人公園のブランコに乗るナルトの周囲では同じくらいの年の子どもたちが楽しげに遊んでいる。皆、母親や父親と一緒だ。
「聞いた?あの九尾の子もアカデミーに入学するんだってよ?」
「ホント、怖いわよねぇ。化け狐が忍になるだなんて……」
「一体あの方も何であんな子どもの親代わりになっているのかしらね?」
「何だかウワサじゃ彼女の方も人柱力だとか……―――」
「お前、バケモノの子だろ!化け狐の子!」
「アンタなんか忍者になる資格なんかないわよ、あっち行って!」
「お前の母ちゃん、ニセモノの母ちゃんだろ!お前なんかと一緒にいるなんて、そいつもどーかしてるんだ……――――いっ、てえ!お前、何すんだよ!、この―――――」
―――――――――――
ナルトの声は震えていた。
里の者達にとってナルトという存在は九尾の狐そのものという認識なのかもしれない。
センリはそう思ってナルトの肩をそっと抱き寄せた。もしそうだとしたら、あの時クラマを止められなかった自分のせいなのかもしれない。少しの後悔がセンリの心を襲ったが、ナルトにそれが伝わらないようそっと黄色い髪を撫でる。
「センリはオレの本当の母ちゃんじゃないって……お前はホントは独りぼっちなんだって………オレなんかといるセンリはどうかしてるって……だからムカついて、オレ…」
よく見ればナルトの右手の甲も赤くなっていた。
ナルトは、センリの事を悪く言われた事に腹を立て、その子ども達に喧嘩を挑んで負けて帰ってきたのだ。陰口を叩かれる事などはナルトにとっては慣れたものだったが、センリの事を悪く言われて許せなかった。
何となく状況を理解したセンリは両腕でナルトのうずくまった体を抱き締めた。
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