木ノ葉隠れ確立期、発展期編
-子ども達との日常-
イタチは自分が暗部に推薦された事など知る由もなく毎日自分の力を高めて過ごしていた。
時々だったが、センリもイタチの修業の場について行ってアドバイスをしてやる事があった。そんな時は大抵弟のサスケも着いてくるが、任務であまり会えない兄と久しぶりに遊べる機会なのでどうにかして構ってもらおうと必死だった。
「うわあ、すごいや兄さん!」
イタチはすでに、的を直視せずともクナイを真ん中の黒い点に正確に当てる事が出来ていた。自分の背後も合わせて十箇所。全ての的の真ん中にクナイが刺さるのを見てサスケは顔を輝かせてイタチに駆け寄った。
「ねえねえ、兄さん、オレにもその手裏剣術教えてよ!」
「お前には少し早い」
先程の技を教えてくれとしつこくせがむ弟に苦笑いを返すイタチ。
イタチが集中して修業をしたい事を察知したセンリはサスケに近付いた。
『じゃあサスケ!私と一緒にかくれんぼしよう』
「えっ、センリ、まだいてくれるの?」
『うん、いいよ!』
「本気のやつ?」
『本気のやつ!』
するとサスケは大きな瞳を更に開いてキラキラさせながらセンリを見上げて深く頷いた。
「やる!」
『よし!…じゃあイタチ、私たちは少し向こうにいるから』
「センリ、早く!」
サスケは待ちきれないとセンリの手を引いた。
自分に手を振りながら消えて行くセンリを見てイタチはふっと笑った。
弟と過ごす時間も楽しいが、忍としての修業は大事だ。自分の思っている事を知った上でサスケと接してくれているセンリの存在はイタチにとっても有難いものだった。
「顔がニヤけてるぞ」
「!」
突然聞こえた声に驚いてイタチは持っていたクナイを握り直したが、隣に立っていたのは自分の親友だった。
「シスイか」
思わずクナイを放ちそうになった自分が恥ずかしくなったが“瞬身のシスイ”と言われているだけあって本当に気配がない。
シスイはイタチを見つめてニヤッと悪戯っ子のように笑う。
「オレの前でもそんな顔しないのに」
「別に……ニヤけてなんかいないさ」
「いいや、ニヤニヤしてたぞ。センリ様の後ろ姿を見ながら、恋する乙女みたいな顔をしてた」
「そ、そんな顔はしていない!馬鹿な事言ってないで、この前の組手の続きだ」
修業している時にシスイが現れる時は決まって任務がない時だ。イタチは話題を逸らすように戦闘態勢をとり、シスイは笑ってそれを受けて立った。
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