木ノ葉隠れ確立期、発展期編
-子ども達との日常-
マダラがオビトと一緒に里を発ってから数ヶ月。
今度はオビトもいなくなっちゃって、より寂しくなったような気もするけどそんな事は言ってられない。マダラは里の為にやってくれてるし、オビトも強くなる為に頑張ってる。私には私のやる事があるし、いちいち立ち止まってはいられない。
もうすぐ五歳になるナルトはクラマの封印が解かれること無く元気に育っていて、性格はクシナにそっくりだった。
最近「…だってばよ!」なんて言うようになって、口癖まで似るのかとびっくりしてる。
私の事はちゃんと“センリ”として認識してくれてるし、夜だって一人で眠れる。手がかからなくなってきたから私も相談役としての仕事もだんだん増えてきて…それで一日会えない日があるとナルトはやっぱり寂しそうにしてる。
「オレのとーちゃんとかーちゃんは何で死んだの?」って聞いてくる事もあった。
きちんと説明出来ないのが悔しかったけど『いつか絶対に話すから』って言えばナルトは納得してくれていた。
ミナト、クシナ。
あなた達の息子はちゃんと成長してるからね。
ミナトとクシナの命日とナルトの誕生日は一緒だから、その日ナルトが寝た後は必ず霊園に行った。それももう五度目かと思うと本当に時が経つのは早い。
ナルトが歩けるようになって、言葉を話すようになって、「センリ」って呼んでくれて、それで後一年もすれば多分アカデミーに入学する。
こうして子どもの成長を側で支えたのはインドラとアシュラ以来だなあ。
ナルトのお母さんにはなれないけれど、それに近い存在になれたらな。
ナルトが私の事を家族だと思ってくれてるかは分からなかったけど、一緒にご飯を食べて遊んで寝る時のナルトは楽しそうには見えた。
ヒルゼンは早くナルトに独り立ちしてほしいって思ってるんだけど、私がそうしなくてもいつか一人でも生活できるようになるんだろうなあ。今でも私がいない時は家や公園で一人で遊んでるし…。まあ帰ってくると部屋の中はめちゃくちゃ散らかってるんだけどね。
でもとにかくナルトの成長は私にとって嬉しいものだったし、一緒に過ごすのは楽しかった。
私も家に帰っても誰もいないから…ナルトが早く寝た日なんかはご飯に誘ってくれるカカシやリンと過ごしてたり、たまに家に泊まりに来るイタチと過ごしたり…最近だとそこにシスイが加わってたり。
やっぱり忍だと男の子が多いから、リンとかミコトとかと話すのはまた違った楽しさがある。ガイくんと会うのも楽しいなあ。
昼間は相談役として仕事したり、里内を駆け回ってたり…マダラがいない事に寂しさを感じる暇もないくらい私は賑やかに過ごしていた。
カルマとも時々連絡をとってたけど、クラマが暴れた時の人物について心当たりはないみたい。輪廻眼を持っていた長門はどうなんだって言ってたけど、あの子達は何年も前に………。
ナルトに関しては、少しクラマのチャクラを使えるようになればクラマと話せるかもしれないとの事だった。幸いナルトはうずまき一族の強い生命力を継いでるらしく、元々チャクラ量も多いからその点はかなり可能性があるって。その辺はクラマが心を開いてくれないといけないんだけど…何となくナルトならそれが出来る気がする。
イタチは写輪眼を開眼した時の事件からは立ち直ってるみたいだけど、少し心配だから話を聞いたりする回数は前より増えた。写輪眼使いすぎると疲れちゃうからあんまり無理しないといいんだけど………。
でもこの前やっと様付けをやめて『センリさん』って呼んでくれるようになってそれはちょっと嬉しい。しつこく言ったからなあ。カカシとかリンも聞いてくれればいいのに!
それからイタチの弟であるサスケもナルトと同い年で、アカデミーでも一緒になると思う。
サスケはイタチみたいに強くなりたいっていつも言ってて、まだアカデミーに入学してないのに私に手裏剣術を教えてほしいって言ってきたりしていた。サスケもまだ小さいのに腕が立つんだよね…。それから多分フガクに褒めてもらいたいってのもあると思う。
イタチはすごく優秀だからフガクも目をかけてるけどサスケはまだ褒めてもらった事が無い、って。あのフガクの事だから影では心配してるんだろうけど…中々難しいよね。
愚痴を言えたり甘えられたり場所でありたいなとは思ってるんだけど、イタチは一緒にお風呂入ろうって言っても恥ずかしがっちゃってダメだし…サスケは子ども扱いすると怒るし、カカシなんかは私に「戸締りしましたか?」とか聞いてくるし………ミコトやクシナが小さい時はそんな事なかったのに、男の子ってちょっと難しいよね。
それに比べて女の子は心の成長が早いって言うのかな、精神的には何だかすごく大人に感じるよね。
リンなんてもう少しで二十歳になるけどすごく美人になってね!マダラに弟子入りしたオビトの事も見直してたみたいだから、次に帰ってきたらもっとちゃんと実感するかも。
それからこの前アカデミーの教員採用試験を受けて合格してね。リンは面倒見がいいから先生とか絶対向いてると思うし、もしかしたらナルト達のクラスを受け持つ事になったり…。
そう考えると楽しいよね。
里が出来てからこれまでも楽しい事ばかりじゃなかったけど、でもあの時があるから今こうして子どもたちが里で生きていてくれてる。
時間が経つ事にマダラはおじいちゃんみたいな感じになってる気がするけど、それに比例して他の人を見守って意志を継がせる事を重要視して考えてくれてる。今でも「弱い者は嫌いだ」なんて言ってるけど、実は影でアドバイスしてたりするし。オビトも弟子にして一緒に連れてっちゃうし。戦国時代のマダラだったら誰かを弟子にするなんて有り得なかったと思う。
一人では大きな目標を達成出来ないって子どもたちに教えてるマダラなんて本当に大きくなったんだなあなんて思う。今はもう旦那さんだけど…。
うううん。そう考えるとちょっと寂しくなってきちゃうな…。いやでも私だって大人なんだから何年か離れるくらい我慢しないと。…いやもう大人っていうか、お年寄りっていうか……かれこれ二百年も生きてるからね。
戦国時代で生きてから今まで長かったけれど、これから先不安定な五大国が分かり合える日は来るって思ってる。
だってあんなに長く続いた戦国時代を終わらせる事が出来て、里っていう重要なものを作る事が出来たんだから、それだったらみんなが心から分かり合える日だって絶対くると思う。
今でもハゴロモはこの世界を見守ってると思うから、安心させる為にもこの先を生きて行かなきゃ。
…もうすぐ満月だ。
満月の日は少しだけ不安。もし何かあったら…って考えるとその日の夜だけは中々眠れない。そういう時はその辺を散歩してみたりするとちょっと心が安らぐ。マダラがいる時はぎゅってして寝てくれるけど、ここ何年かはそれもないから自分で何とか乗り越えないと…。
満月の夜は明るいから霊園に行ってもお墓に刻まれた名前が読めるくらい。そういう時なんか気配を感じる事もあるんだけど、きっと誰かが見てくれてるんだよね。柱間とか扉間くんとか…イズナとかも中々成仏しなそうだからね!
そうやって考えてたりするとちょっと不安が消えて行く。私にはたくさん大切な人がいるんだって、みんなが見守ってくれてるんだって考えると安心する。みんなを安心させる為にも私は生きてるんだけど、私もみんなの存在を思い出して安心してる。
これからもこうして過ごしていくんだろうな。
カグヤも………大きな満月からきっとこっちを見てる。ハムラも。
大丈夫。
私は忘れない。
ぜんぶ忘れないで生きて行く。
あっ………明日はカカシの誕生日だなあ。あの子はいつも何もいらないって言うけど、今年もリンと一緒に祝ってあげよう。
そうしたら次の誕生日は…………。
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