木ノ葉隠れ確立期、発展期編
-事件発生とオビトの弟子入り-
「マダラ!」
『ぅわあっ!』
突然聞こえた声にセンリは驚いてマダラを離そうとしたが、頑丈な腕がそうしなかった。
「お前な……少し気を利かせてやろうという気持ちはないのか」
なんの前触れもなく庭に現れたオビトに向かってマダラはセンリを抱き締めたまま呆れて言い放つ。
「マダラこそ!何で帰ってきた事を知らせてくれないんだ!」
「お前がそうやって煩くするからだ」
オビトはこの三年間マダラを待ちに待って日々過ごしていた。
マダラはオビトをじいっと見つめてから、盛大にため息を吐いてセンリの体を離した。
「……それで?お前はどうしたいんだ?」
一呼吸置いてからマダラは縁側に座り直してオビトに問い掛ける。センリも正座をしてオビトを見つめた。
「オレの気持ちは三年前と変わらねェ」
十八を迎えるというオビトは外見こそ子どもっぽさが抜けていたが、その強い瞳だけは変わらなかった。
「大切な人間を守る為に強くなりたい、と?」
マダラも真剣な顔になり静かにオビトに問う。オビトは深く頷いた。
「確かに……アンタが言うように、強くなったとしても後悔をするかもしれない………。センリが何度も墓場を訪れている事も知ってる。アンタもセンリも、これまで何人もの仲間を失ってきた」
オビトはマダラから目を逸らさずに続けた。
「強くなったとしても悔しい思いをしなくちゃいけないかもしれない………でも…」
オビトは両手をぎゅっと握りしめた。マダラを見つめるその右目は三つ巴の写輪眼だ。
「どうやったって後悔するなら、オレは……強くなってから後悔したい」
『(オビト…)』
センリがナルトの世話をしている間もオビトが毎日任務にあたって、修業を繰り返していた事は知っている。リンと会うのも我慢してカカシと共に修業に励んでいたオビトは、三年の間に少し考えが変わったようだった。
マダラはしばらくオビトの片目の写輪眼を見ていたがふう、と息を吐いた。
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