木ノ葉隠れ確立期、発展期編
-事件発生とオビトの弟子入り-
そんなが出来事があった事は里の住民は知らず、それからは嘘のようにすぐに日常が戻った。それ以来時々日向一族にも顔を見せるようになっていたセンリだったが、ヒアシは黙々と子どもたちに修業をつけていて、特に変わった様子はなかった。
日向家の宗家にも分家にもまだ幼い子ども達がいたので、センリはこれからその子ども達にも目を配ろうと考えていた。
「センリさまは、ボクの父の事を知っているのですか?」
父が自ら死を選んだ事を知らないヒザシの息子は、不思議そうにセンリを見つめ、まだたどたどしさの残る口調で問いかける。センリは子どもの目線にしゃがみ込み、優しく頭を撫でた。
『ネジ、あなたのお父さんはね、とてもかっこいい人だったんだよ』
そう言うと、ネジは恥ずかしそうな照れたような曖昧な笑みを浮かべ、くるりと背を向けて満足したように去って行った。
そんな風に子ども達に気を配る事は相変わらず続けていたが、このところは火の国の地方でも新たな孤児院が出来たりと、里内外で不遇な環境の中にいる子ども達の保護も順調に進んでいるようだった。センリは各孤児院への寄付は続けていたので、その甲斐もあるのが嬉しいところだった。
ただ、そんな子どもの生命を脅かすような事件もまた発生しようとしていた。
その日は年に一度の火の国の大名の視察の日で、そういった時里までの道中は忍が警護にあたることになっている。それを任されているのが守護人十二士と木ノ葉の暗部、それから今年はもうひと班。イタチの所属するフォーマンセルチームだ。形式上の護衛という事でその任務を任されたのだ。
一見そこまで危険がないような任務だったが、その時は違った。
イタチ達が大名の所へ向かってから少ししてからセンリはヒルゼンに呼び出され、その大名のいる所へ向かってくれと言われた。警護をする為ではない。毎年この視察の時になると木ノ葉隠れに辿り着くまでの長い道中に飽きた大名がセンリを指名して呼び出す事があった為だ。
「毎度毎度すみません、センリ様」
『いいよいいよ!ナルトのとこには影分身を置いていくし、最近一人で寝られるようになったから大丈夫』
「世話をかけまする…」
大名の言う事には極力逆らえないが、その言い分には呆れているヒルゼンに苦笑いしてセンリは早々に大名の元に向かった。
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