大筒木編
-二人の生き方-
それから幾日か経ったある日。
「どうやらハゴロモ様が忍宗の後継者を選ぶらしいぞ」
「アシュラ様とインドラ様か」
「インドラ様か。忍宗の才に優れているし」
「センリ様がなってくれたらなあ」
「出来るならそれがいいが、無理ってもんだ」
ハゴロモはどうやら後継者を決める気になったようだった。
問題を抱えている村を探してくれとお願いされ、センリは数日間カルマの背に乗り困っている村を探した。
割とすぐにそれは見つかった。
どちらもハゴロモとセンリが訪れたことのなかった村でどちらも神樹の問題を抱えていた。
これを兄弟にそれぞれ解決させ、その結果を見て後継者を決めるというものだった。
ハゴロモは練習場に皆を集めた。
「これより、忍宗の後継者を決める」
センリがインドラとアシュラにそれぞれに巻物を手渡す。アシュラはそれを開いて見ると、顔をしかめた。
「これは…どういうことです?」
アシュラが不思議そうに言うとハゴロモはセンリを見た。
『私たちがカグヤを封印した時十尾の体の残骸が地上のあちこちに散ったの。大部分は私たちが旅したときに処理したんだけど…。その巻物にはまだ処理してない二つの地が書かれてる』
センリは巻物を指さし、インドラとアシュラはそれをもう一度見る。
「お前たちはその地に向かい、そこで起きている問題を解決するのだ。その結果を見てどちらに忍宗を任せるかを決める」
アシュラは驚き、巻物を畳み、ハゴロモを見た。
「なぜです父上!俺に忍宗を継ぐべき才能がないことは……いえ、俺は忍宗を継ぐ気などありません。兄さんの元にいられれば…」
アシュラは納得いかないようだった。
「それはわしが決める。お前たちが世界に出て何をするのか。すべてはそれを見極めてからだ」
インドラとアシュラは顔を見合わせ、何か言いたげだったが、巻物を畳み、練習場を出て行った。
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