- ナノ -


大筒木編

-六道仙人と陽光姫-



そしてまた歩くと次の壊れた橋が現れる。
最初の橋よりは小さいが、また骨の折れる作業になりそうだった。
すると木の影から男が出てきてすり寄ってくる。

「そこの旦那にべっぴんさんよ。橋が壊れてて大変でしょう?あっしが…」


男はフタミを見てハッとした。

「お前何でこんなところに!ここはオレの縄張りだぞ!」


どうやらフタミの泥棒仲間だったらしく、持ち場を荒らしに来たと勘違いしてフタミ殴りかかろうと腕まくりをし始める。


「今からこの橋を作り直すぞ」


フタミはそれを軽く流し、男に言い放った。しかし男も一筋縄ではいかない。


「はあ?何言ってんだテメエ!」


「お前も今日から善人になるんだよ!」


「お前、頭おかしくなったのか?」


二人のやり取りを見てハゴロモとセンリは笑う。
やはりそこでも四人が橋を作り直しているのを見て人々がどこからか集まってきて、いつのまにかみんなで橋を完成させていた。



ハゴロモとセンリの旅は続く。

橋だけではない。壊れた村があれば復興を手伝い、岩が崩れた山があればそれを退かし道を作り直し、木々が倒れたままになった森林があれば元に戻す。

十尾とカグヤとの戦いで地上は莫大な被害を被っていた。

途方もない旅だった。
まさに壊すのは簡単だが、元に戻すのはどうしようもなく時間がかかった。

しかしハゴロモとセンリはどんなことにもめげずにやり遂げた。

そんな毎日を繰り返していると徐々に二人の考えを理解し、着いてきてくれる者も増えていった。


ある者はハゴロモの厳格なところに憧れ、ある者はセンリの慈愛に満ちた優しさに感動し。

動機は様々だったが、弟子となる者達の目的はみんな同じだった。


歩き疲れ、立てなくなる日もあった。
過酷な作業で筋肉痛が治らない時もあった。
頭がおかしい変わり者だと罵られることもあった。



しかしどんな辛い事があっても乗り越えられたのはやはりみんなとの絆だった。

ハゴロモとセンリは着いてきてくれた弟子達に力を分け与え、その絆を“忍宗”と名付けて繋がりを深くしていった。


命とは何か。愛とは何か。力とは何か。
ハゴロモとセンリは弟子達と旅をしながら考え続けた。

二人はいつかチャクラでできる人の絆が世界を平和に導くと信じたのだ。


確かに自分一人の力で皆を治めようとしたカグヤの方法よりも、時間もかなりかかった。だが、二人は信じる道を突き進んだ。

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