年の差とか地位の差とかさ。
そういうの、全然関係ないと思うんだ。
本気で好きなら、堅苦しいことなんてどうでもいい。
ふふ、そのくらい乗り越えてみせるさ。
…………俺ならできる。
そうだろう?



「ね、先生」

「うぁ、は、はい!」



放課後、教室にて居残りをしている俺。
わからないところがあるから教えて、なんて言ったら先生はいとも簡単に信じて、俺に勉強を教えてくれることになった。(成績優秀の俺に、わからないところなんてあるはずないのにね。ふふ)
2人きりの教室。
ああ、なんていいシチュエーションなんだ。
そう思いながら俺は隣に座っている先生との距離をゆっくりと縮めていった。



「俺の話、聞いてた?」

「えっ…なんだっけ…」

「まったく、ちゃんと聞いててよ」



そう言いつつも、距離をだんだんと縮めていく。
肩が触れるくらい、そして、顔も吐息がかかるくらいに近く。
慌てている彼女の顔がおかしくて、笑ってしまった。



「ふふ、」

「な、なに笑ってるのよ…!」

「だって先生がおもしろい顔してるから」

「してないですー!もう、子供のくせに大人をからかうのはやめなさい!」

「なに言ってるんだ、俺は先生が思ってるほど子供じゃないよ」

「え、」



ガタン、と椅子から立ち上がり、大人にしては小さめな彼女を見下ろす。
そうすると自然に向こうは俺を見上げる形になって……
なんて言ったらいいのかな、これは…………あ、そうそう上目遣いってやつ?
とにかく、グッとくる角度だ。



「俺は確かに中学生だし、先生から見たら子供かもしれない。でも、そんなこと言わないで。ちゃんと1人の男として見て」

「ゆき…むら…く……」

「ふふ、顔真っ赤」

「っ、」



わざと耳元で囁いたら、案の定彼女は真っ赤になって俯いた。
耳を隠そうとするその手を掴んで、無理矢理こちらに向かせる。

ああ、その怯えた表情がたまらなく愛しい。
俺が怖いの?
こんなに優しく接してるのに…ね?



「成人して何年も経ってるくせにウブだね、先生」

「う、うるさ…あっ」

「…………かわいい」



ただ、首筋にキスしただけなのに……貴方っていう人はどこまで俺を魅了するんだ。

ねえ、先生。
年の差なんて関係ないよね?
立場も、もちろん。


好きになったものは仕方ない。



「好きです、先生」





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0302

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