……なんで俺はB組なんだろう。
そう考えたことが、3年になってから少なくとも5回はあった。(つーことは、今ので6回目だな)
本当になんでだろう?
できるなら俺はD組がよかった。
花島と同じ、D組が。
なのに、それなのに……俺はそことは少し離れたB組だ。
「ちょっと行ってくるぜよ」
休み時間、同じクラスの仁王がそう言って席をたつ。
どこに?なんて問いかければ、D組。なんて返ってきた返事に、興味なさ気にそっけなく返答しておいた。
D組、か………
D組っていったら、花島のいるクラスだろい?
……あーあ、あいつ今頃なにやってんだろーなあ………なんてガムを膨らませながらぼんやりと考え込む。
すると無邪気で無鉄砲な花島の姿が簡単に思い浮かんだ。
いつもいつも幸村を追い掛けている花島。
それを見ていると、よくやるなあ…と呆れつつも感心する。
そして、そんな健気な様子を見て、心のどこかで淋しさを感じていたり。
ああ、いつからだったっけ?
俺が花島に想いを寄せるようになったのは。
よくは覚えていないけれど……
でも、小学生だったころは楽しかった。
ジャッカルと花島と俺で毎日のように遊んでたっけ。(同じ神奈川第三小学校だったから)
あの頃はまだ、純粋に一緒にいるのが楽しくて………わいわいと騒いでいることが幸せだったんだよな……
…………でも今は、
「……幸村に、マジで夢中だし」
しかも仁王でさえも最近は花島を追い掛けるようになったし、俺の周りは一体どうなってんだよぃ…!
本当に、なんでこんなややこしいことになったんだ?と、つくづく思う。
「つーか、仁王やけに遅くねぇ……?」
一体なにやってんだ?
D組で………………………………………っておい、D組かよ――――!!!?
「まずいっ!!」
そう言って勢いよく教室を飛び出す。
向かうのは、隣の隣のD組だ。
まさか仁王のやつ、花島が目当てでD組に行ったんじゃないだろうな…!?
そして、ガラッとドアを開ければ、俺の視界に飛び込んでくるのは彼女に迫っている仁王の姿で。
すぐさま走っていって引きはがした。
「てめっ、なに一人で抜け駆けしてんだよぃ!」
「なんのことじゃ?」
「………ったく、油断も隙もねえな」
「ま、丸井くん?どうかしたの?」
「うっ……、べ、別になんでもない」
「………………?」
きょとん、とはてなマークを浮かべる花島に、苦笑いする。(だけど仁王はにやにやと笑っていた)
あ、あのやろっ……!!(かなり頭にくる!)
「あ、そういえば幸村くん見なかった?」
「へ…?あ、いや、見てないけど」
「そっか………実はね、仁王くんが見たって言うんだけど、一体どこで見たのか教えてくれないの」
「ふーん…」
「だって、ただで教えるのはつまらんし」
「さっさと教えなさいよー!!」
「嫌と言ったら?」
「む、むかつくうううううー!!」
ダンダンッ、と自分自身の机を勢いよく叩く。
恋する乙女って恐ろしいもんだな……と正直実感した。
仁王も仁王だよな、からかうのも程々にしておけばいいのに。
…まあ、俺にもそのへんの気持ちは少しわかるけど。
でもそういうのって、だいたいガキがやることじゃね?(好きな子はいじめたくなるっていう、あれのことだ)
つーかそもそも、仁王の場合…………どっちなんだろうか。
好き、か、そうじゃないか。
……本気なのか本気じゃないのか、全然わかんねえ。
さすがあいつ、詐欺師と言われてるだけあるよな……
「私は幸村くんに会いたいの!いや会いに行くの!だから今すぐ教えろおおおおお!!」
「えー」
「丸井くんもなんとか言ってやってよ!」
「いや、俺に言うなって」
「だってこいつが意地悪するんだもんーっ!!!」
「別に俺は意地悪してるつもりなんてないんじゃけどのぅ…」
「一回死ね!」
そう言い放った瞬間、花島が仁王に飛び掛かる。
首を掴もうとしたらしいけど、簡単に避けられていた。(やっぱり身長差が………)
でも、2回目に飛び掛かったときに、かろうじて首元のワイシャツを掴む。
そして、そのままぐらぐらと仁王の体を揺さぶって…………
あーやっぱし、恋する乙女ってある意味無敵だな…
バイオレンスガール
(幸村のこととなると、見境がなくなるのがたまに傷)
title:)DOGOD69
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