そして幸村くんのお部屋にて。
私はどきどきする心臓をなんとかしずめようと自分と格闘していた。
「どうぞ。椅子に座ってて」
うわあああああ!!
なにこれ幸村くんのお部屋広すぎじゃないですか!
なんでテーブルとか椅子とか普通にあるの、っていうかベッドやけに大きいな!
はうう、憧れの幸村くんのお部屋に来ちゃったよ…!
幸村くんファンに殺されるんじゃないかな、私!
しかもなんだかいい匂いするよ……!(幸村くんの香りかな、これ)
ああっ、今すごくベッドでごろごろしたいいいいい!
………なんて悶えていたら、彼は棚から救急箱らしきものを持ってきて、机に広げた。
「なにか考え事?」
「えっ、いや、なんでもないですっ」
「どうせ俺のベッドでごろごろしたいとか考えてたんだろ」
「ええっ!!」
「図星?」
「うっ………」
だって幸村くんのベッドきっといい匂いするもん!
そんな素敵なベッドでごろごろしたいと思って何が悪いの…!(いや…自分でも悪いと思ってるけどね……)
「本当に分かりやすいな。ほら、足みせて」
そう言って彼は私の足元にひざまずくようにして、擦りむいた膝を覗き込む。
てきぱきと消毒を済ませてガーゼを貼って…………この間も思ったけど、幸村くんって怪我の手当てうまいよね。
よしできた、という言葉と共に見上げられれば、私は真っ赤になった顔を両手で隠した。
ひいい、なんなんですかそのアングル!
どきどきしちゃうよ幸村くんんんんん!!
「ちなみにこのすり傷はどこで?」
「……校庭で転びました」
「花島さんってよく転ぶよね………ってなに、これ」
「あっ」
幸村くんに指摘されて太ももを見れば、あの時机にぶつかった所がスカートから少し見えていた。
やっぱり痣になっていたらしくて、赤紫色の跡がくっきりと残っている。
慌ててスカートを引っ張り痣を隠せば、彼は不審そうに眉を寄せた。(これは……やばいかもしれない……)
「………今のはなに?」
「あ、あはは……なんでもないよ?」
「……ごめん、許して」
「え?…ひいっ!?」
いきなり謝られたかと思えば、スカートを少しめくられて下着が見えるか見えないかのギリギリのラインで太ももが露わになる。
そのせいで痣は丸見え、しかもそれは思ったより大きめで、私は思わず冷や汗を流した。
どうやって説明すればいいの……これ……!
「どうりで歩き方がぎこちないはずだよ……で、どうしたのこの痣」
「なっ、なんでもないよ、」
「どうしたのか聞いてるんだ」
「うっ……ぶつけただけ、ほんとに大丈夫だから。ね?それよりもそろそろスカート元に戻して欲しいかなあ…なんて。大胆な幸村くんもそれはそれで素敵なんだけどね!」
「…花島さん、真面目に答えて。どんな風にぶつかったらこんな痣になるの?」
にこり。
私はこれほどまでに笑顔を怖いと思ったことがあっただろうか。
スカート、ちらり
(ああもうなにこの状態…!)
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