「はあ………」
すっかりうす暗くなってしまった空を見上げながら校庭を歩く。
私は今、学校を出ようとしている最中だった。
……今日はなんてついてない木曜日だったんだろう。
女の子2人に絡まれたと思えば、先生に見つかって連行されて。
それからずっと説教聞かされて。
とにかく最悪な1日だった。
さっきようやく先生から解放されたものの………気がつけばもう遅い時間だしね。
しかもさっき校庭歩いてたら石につまずいて派手に転んだしね。
なんなの、一体!
膝から血は出るし女の子達に絡まれた時にぶつけた太ももは痛むしで散々だ。
もう泣きたいよ………!
「ううっ………」
「………あれ…花島さん?」
「あっ……」
「っ、待って!」
それはすごくすごく偶然の出来事だった。
私が校門を出ようとしていた時に、恐らく部活帰りであろう幸村くんに出くわす。
思わず走って逃げようとしたけれど、彼は私の腕を掴んで引き止めた。
ど、どうしよう、私、心臓がばくばくいってる…っ!
「なんで逃げようとするの?」
「そ、れは……」
「っ、血出てるじゃないか!」
「ゆ、ゆきむらく……これは、その……」
「話はあとだ!来て!」
そう言って、ぐいっと腕を引っ張られる。
校門から出た私は、ただ大人しく幸村くんについていくことしかできなかった。
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「えっと……ここは……」
「俺んちだよ」
「ですよねー……って幸村くんちー!!!?」
そしてしばらくして着いた先は洋風の大きなお家。
庭は綺麗に整っていて、いろいろなお花が咲いている花壇まであった。
彼はガチャリ、玄関のドアを開く。
「ただいま、」
「おかえりお兄ちゃ……って誰その人……」
「花島りこさん。友達だよ」
「おおおお母さあん!お兄ちゃんが彼女連れてきたー!」
「こら違うってば。花島さん、あがって」
「えっ、あ……お邪魔します!」
「まずはお風呂で傷口洗うよ」
「は、はいっ」
そうして私は幸村くんちのお風呂へと連れていかれる。
………って、いやいやいや!
なんでこんなことに!
なんで私幸村くんちにいるんだ…!
う、嬉しいけど……すごくすごく嬉しいけど……夢にまでみた幸村くんちだけど………!!!
しかも幸村くん妹さんいたのね。
ちっちゃかったから多分小学生くらいかな…?
そして濡れないようにと靴下を脱げば、幸村くんはシャツの袖口をまくりあげ、シャワーを手にした。
「じ、じじじ自分で出来るよ!」
「いいから。俺に任せて」
「うっ……」
本当になんなの、ずるいよ。
あなたに頼まれたら断れないこと知ってるくせに…!
「洗い終わったら、俺の部屋に行こうか」
にこり。
私は彼の笑顔に、ノックアウトされました。
in幸村くんち
(ひいっ)
(このくらい我慢して)
(だっ、だって水しみるんだもん…!)
(消毒液の方がしみると思うけど)
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