やっぱり俺は、避けられているのだろうか。
どうして?
ねえ、なんできみは俺を避けるの?
花島さん…
俺、なにかした………?
「………ふう、」
目を伏せて、小さく息をつく。
今俺は部活の真っ最中だった。
さっきから頭の中を締めるのは彼女のことばかり。
どうしてさっき、あんな辛そうな顔をして俺の隣を通り過ぎたのだろう。
いつもなら走って抱きついてくるのに―――――……
「幸村、危ないっ!」
「………いった…!」
それは、危ないと叫ばれるのが先か、俺の後頭部にボールが当たるのが先か。
鈍い音を立ててぶつかったボールに、俺は情けないけれど少しよろけた。
じ、地味に痛いなコレ…………
「……今の誰?この俺にボールぶつけた身の程知らずの馬鹿は誰?」
「………ピヨっ」
「仁王か」
「そう睨みなさんなって。ふざけて打ってた球だからあんまり痛くなかったじゃろ」
「ふざけて打つ余裕があるくらいならグラウンド100周でも走ってきなよ」
「はあ?それはいくらなんでも………」
「青学もこれを行っているらしくてね。青学にできて我が立海にできないことはないだろう?」
「……やれやれ、うちの部長は無茶言うのう」
「いいから行ってこい」
ふふふ、とこれ以上ないくらいに微笑む。
俺に一歩も引く気がないことを悟った仁王は、大人しく従ってコートを去った。
それを見て、俺は声を張り上げる。
ちょうどいい、今日のメニューは多少きついだろうけどグラウンド100周と筋力トレーニングにしようか。
「全員今からグラウンド100周!」
「えええええ!!!?」
「なに?文句あるの赤也」
「いくらなんでも100周って…!」
「ふふっ…………文句、あるの?」
「な、ない、っス」
「ならさっさと走る」
「はいっ!!!」
これでいいんだ。
今は体を動かしたい気分だから。
花島さんのことは部活の時くらい忘れよう。
考えるのは家に帰ってからでも遅くないし、ね。
今週末は久しぶりにどちらも休みだから、たっぷりと考える時間はある。
どうしてか、なんて……
いくら考えても答えは出ないだろうけど…
こんな時、電話番号かアドレスを知ってたら良かったのにな。
そうしたら顔を合わせなくても連絡を取ることくらいはできたのに。
「……もう考えるのはよそう、」
あとは家に帰ってから。
そう呟いて、俺はグラウンドへ向かった。
神の子だって悩みます
(仁王くん、あなた一体何したんですか!今日の幸村くんいつも以上に荒れてますよ!)
(知らん。)
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