最近、毎日がつまらなくて仕方ない。

2週間くらい幸村くんから離れるとは決めたけれど、あれから3日経った今、まだ何も変化はなくて。
どうしよう、私が付きまとわなくなって良かったなんて思ってたら…
も、もしそうだったら私……私……っ!
うわあああん、寂しいよう!
幸村くんと離れることがこんなにも辛いことだったなんて!

幸村くんに会いたい。
幸村くんと話したい。

うう、幸村くんが恋しいよ……



「なに落ち込んでんの、」

「まる…い…くん」



放課後、そろそろ家に帰ろうと1人で廊下を歩いていた時。
たまたま後ろを歩いていたらしい丸井くんに話しかけられた。
なんでこんな時間に校舎内にいるのだろう、今日から部活始まるはずなのに。



「今日でテスト終わったっていうのに浮かない顔だなー」

「そんなこと、ないよ」

「どうせ出来なかったんだろい」

「で、出来たもん!」

「ふーん?」

「それより、丸井くん部活は?」

「今から行くとこ」

「遅刻すると怒られちゃうよ」

「平気平気。今日はテスト終わったばっかりだから始まりが遅いんだよ」



話をしながら廊下を歩く。
階段に差し迫ったのでゆっくりと降りていった。
こんなことしてていいのかな、私…
だってテニス部の人たちにも極力関わらないようしてたのに…



「なあ、そういえばバイキングの話覚えてる?」

「え?あ、うん、一緒に行こうって話でしょ?」

「そうそう。でさ、ちょうど日曜日部活ないから行こうぜぃ!」

「うん、いいよ」

「やった!」



にこにこと満面の笑みを向けてくる丸井くんに、私もつられて笑った。
よっぽどケーキバイキングが楽しみなんだなあ、すごく嬉しそう。



「じゃあ10時に駅前でな!」

「了解しまし…………あ…」



それは階段を降り終わった時のことだった。
下駄箱の方へ歩こうとしていたら、こちらへ向かってくる人に気付く。
その人は今私が一番会いたくて、でも会ってはいけない人そのものだった。

幸村くん、と声に出しそうになって慌てて止める。
彼の名前を呼んでどうするの、私。
2週間、引くって決めたじゃない。

今は幸村くんに関わっちゃいけないんだから―――――…



「ごめん丸井くん、私急いで帰らなくちゃ」

「え?」

「日曜日楽しみにしてるね、ばいばい!」

「あ、おい花島…っ」



言い逃げのように私は走り去る。
途中で幸村くんとすれ違ったけれど、視線を合わさないように俯きながらひたすら走った。


本当は、今すぐ幸村くんに駆け寄りたいんだよ。
大好きって言って、ぎゅっと抱きつきたい。
そうしたらきっと幸村くんはいつものように少し怖い笑顔で私を剥がすよね。


……2週間が過ぎた頃、私たちの関係は変わっているだろうか。

少しでも、私のことを考えてくれますように。





好きすぎて、辛いよ

(でもどんなに辛くても、諦められないの)





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