どうして私ってば人に迷惑ばかりかけちゃうんだろう。



「とりあえず消毒は完了、っと」

「ありがとう幸村くん……」

「別にいいよ」



先程真田くんに持ってきてもらった救急箱で、ぱぱっと手際よく消毒を済ませる幸村くん。
足に触れられて、すごくドキドキして。
もう、緊張が最高潮に達してた。(好きな人が間近にいるのに、緊張しない乙女はいないと思う)

……………っていうか、そんなことよりも!

これ完全にイメージダウンだよ…!!
きっとめんどくさい女だと思われた……というか、ドジで間抜けな奴だと思われたに違いない。
そりゃそうですよね、あんな何もない所で転んだんだもん。
ああもう泣きたいよおおおおっ!



「…どうしたの?花島さん」

「なんでもないです…」



みんながテーブルを囲んでパンやらおにぎりやらを頬張っているときに、私は膝を抱えて俯いていた。
隣で、心配そうに声を掛けてくれる幸村くん。
いつもいじわるでそっけない態度をとるくせに、こうしてたまに優しくするから、私はもっともっと惚れ込んじゃうのだ。



「帰ってきてから元気ないね」

「そんなこと…」

「一応言っておくけど、俺は迷惑かけられたなんて思ってないよ」

「え、?」

「どうせまた花島さんのことだから、道で転んで俺に迷惑かけちゃったから自己嫌悪に陥ってるんじゃないか、って。安心しなよ、そんなこと思ってないから」

「…!幸村くん!」

「だからさ、元気だして?」



にこり、私の大好きな笑顔で笑いかけてくる幸村くん。

ああもう、なんでこんなにパーフェクトなのかな、彼よりかっこいい人なんていない気がする。
いや、いない。
いるわけないよね。
世界で一番かっこいいのは、幸村くんだもの!



「きっと頭撫でてくれたら元気でるよ!」

「むしろ叩いていい?」

「幸村くんになら叩かれても嬉しいです…!」

「…………冗談なのに」



今度は呆れたような表現をする幸村くん。
毎日彼のことを観察し眺めてた結果、普段は感情をあまり出さない冷静な人だって分かったけど、でも私と話す時は違う。
呆れたり笑ったり怒ったり、いろんな幸村くんを見せてくれる。
それがすごく嬉しくて、ドキドキして。
私だけは特別なのかな、なんて錯覚に陥ってしまう。(勘違いも甚だしいのにね、)



「花島さんってつくづくMだよね」

「えっ、そんなことないよ?」

「いやお前はMだろい」

「丸井くんまで…!?」

「だってさあ、お前どんなに冷たくされても笑顔じゃん」

「それは幸村くん限定です!」



私は幸村くん限定で、なにされても嬉しいの!



「ちょっと待って、それじゃ俺が冷酷な人間みたいじゃないか」

「いや、誰もそこまで言ってねえし…」

「俺はいつだって優しいよね?花島さん」

「え?あ、あ、うん!もちろんです!」

「あれ?なんで言葉に詰まるの?」

「つ、詰まってないよ」

「誤魔化さなくていいよ」

「誤魔化してないよっ」

「じゃあ優しい俺と意地悪な俺、どっちが好きなの?」

「うっ……!!」



優しい幸村くんと、意地悪な幸村くん。
どっちが好きかと言われれば困る…………というか、どっちも結局は幸村くんだし、私はどっちも好きなのだけど……
優しい彼には癒されるし、意地悪な彼にはドキドキさせられる。
だから、どっちも好き。

それじゃだめ?



「優しくされるのもいじめられるのも大好きです!」

「Mだね」

「Mだな」



私の台詞に、2人揃って同じことを言う幸村くんと丸井くん。
私がM……マゾヒストだっていうの?
いやまさかそんな。



「確かに幸村くんにならいじめられるの好きだけど…!」

「だからそれをMだって言うんだよ!!」



丸井くんの声が、響いた。





君って×××××だね。

(マゾヒスト?ううん、ただ幸村くんが好きなだけ)

title:)DOGOD69





:)戻る
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -