「ただいま、」



ガサガサと袋の音をさせつつ、私と幸村くんはみんなのいる和室へと踏み入れる。
こっちを見たとたんにきらきらと輝きだした丸井くんの瞳に、私はまるで子供みたいだと内心微笑んだ。(可愛すぎる)

こういうところが丸井くんの魅力…っていうか、好かれるところなんだろうなあ。



「コンビニまでの距離はそう遠くないだろうに、やけに遅かったな。どうした?」



私と幸村くんのビニール袋を受け取ってくれながらも柳くんは尋ねる。
やっぱりこの人、鋭い。(まさに敵にまわしちゃいけない人…って感じ)
あ、でももしかして、帰りが遅かったこと心配してくれたのかなあ?



「ああ、別にたいしたことないよ」

「……そうか、ならいいんだが。こうして無事に帰ってきたのだし」

「心配させたみたいで悪かったね、柳」

「いや、大丈夫だ」

「早く食べようぜい!」

「「…………」」



話をする2人の間に、突然丸井くんが割り込む。
それを見た幸村くんは深く溜め息をついた。(ああ、溜め息をつく所さえかっこいいなんてさすが…!)
……多分幸村くんは呆れてるんだろう、丸井くんの食欲に。
私だって長年一緒にいるけれど、彼の食事量には毎回びっくりするもん。
時には私の分も奪って食べちゃうしね。
一体、何人前くらい食べられるのか知りたいよ…



「わかったよブン太、先に食べてていいから」

「え、マジで?やりぃ!」



そして丸井くんはパンやおにぎりやらを手に持ち、食べようと封を開ける。



「…………それより、真田」

「む、なんだ」

「救急箱貸してくれないか」

「怪我でもしたのか?」

「花島さんが、ちょっとね…」

「そうか、ならば少し待ってろ」



部屋を出て行く真田くんをよそに、机の周りでは切原くんと丸井くんが食べ物を取り合っていた。
それに、桑原くんと柳生くんが止めに入る。

…………騒がしいなあ。(いや、いつものことだけど)
でも、楽しい。
こうして、みんなといることが。
みんなと、仲良く話せることが。



「座って、花島さん」

「え、あ、うん」



愛しの幸村くんの言葉に促されて、私は座る。
やっぱり膝を曲げると少し痛かった。
そして、「なんじゃ、転んだのか?」なんて言いながら仁王くんが私の膝をのぞき込んできたので「うん、でも怪我ってほどじゃないよ」と言っておいた。
……心配してくれてるのかな?(珍しく優しい気がする)



「血は出とらんようじゃの、」

「…や……っ!痛っ!」

「ククッ、」



優しいと思ったのもつかの間、すり傷のある膝に伸びてきた仁王くんの手に、びくっと身を震わせる。

痛い!痛いって!
なんでわざわざ傷口をさわってくるの!?
ぎゃあああ痛いってばぁぁー!

すかさず私は彼の手を叩く。



「いいいい痛いって言ってるでしょ……!!」

「え?」

「痛っ!も、もうやめて!」



必死でそう訴えるけれど、仁王くんはにやにやとした顔で触り続けた。
楽しんでる……!
絶対楽しんでるよこいつ……!!(意地が悪すぎ!最悪!)



「ひっ……!」

「こら仁王、あんまりいじめるんじゃないよ」

「だって花島の苦痛に耐える顔が面白いんじゃもん」



もん、とか可愛く言ってもお前は可愛くないよ!(むしろイラつく!)
丸井くんや切原くんならまだしも……
…あっ、もちろん幸村くんも私的には全然許容範囲内だよ!
だって幸村くんが言ったら可愛すぎて私卒倒しちゃう……
まあ、つまりは、私のダーリンはなんでも似合うってことなんだよね!
もん、とか言ってる幸村くん……
ああ可愛い!(あっ、想像したら鼻血が…!)
やっぱりギャップっていいよね!素敵!



「………寒気がする」

「え、どうしたの幸村くん」

「誰かに気持ち悪い想像をされたのかも……ねえ花島さん?」

「……あはははは」

「俺の知ってる限りじゃ、そんなことするのは君ぐらいしかいないんだよなあ」

「ま、まさか!私じゃない、よ!多分!」

「ふふ、どんな想像したのか正直に言ってごらん?」

「ひいいバレてるー!!」



…………やっぱり愛しのダーリンには全てお見通しでした。





空想アクシデント

(幸村だって俺と同じようなもんじゃろ、花島の反応を楽しんでるくせに)

title:)DOGOD69





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