そして、幸村くんと2人きりでのお買い物にて。(これってなんだかデートみたいだよね!)

自動ドアが開いて、私たちはコンビニの店内へと入る。
今にも降りだしそうにどんよりと空が曇っているせいか、冷房がきいている中はすこし肌寒かった。



「やっと着いたねー」

「そうだね、さっさと用事を済ませてしまおうか」

「うん!」



そうして、とりあえずパンコーナーへと進む。
まだ入れ替えをしたばっかりなのか、種類や数は豊富に揃っていた。

えーと、パンは何個だっけ…?

ごそごそとメモを取りだして、いくつ買うかを確認する。
………………うわあ、9個もですか!
と、とりあえず、手当たり次第にカゴに入れていこう。(特に指定とかはなかったもんね)



「じゃあ俺、飲み物持ってくるから」

「はーい」



飲み物は人数分買う予定だから、そんなにたくさん重そうな物を持てそうにないと思った私はおとなしく幸村くんに任せる。
そして彼もカゴを手にとり、飲料コーナーへと向かった。
………ああ、後ろ姿にもキュンとくるなんて重症かなあ?
細いのに、決して弱そうには見せない背中が、妙に男らしく見える。
やっぱりかっこいいなあ幸村くん!(素敵すぎる!)

しばらく彼の姿をほれぼれと見つめた後、私はパンをカゴへと入れていった。
カレーパンを2つに、サンドイッチを3つ、それとあとはチョコチップメロンパンとストロベリージャムパン、コロッケパン、ハムカツパンを1つずつだ。

…………育ち盛りって、怖い。

そしてそのまま、おにぎりコーナーへと進む。
鮭とか明太子とか、メジャーなものをいくつか取った。
確かおにぎりを希望したのは真田くんと柳くんと…あとは誰だったっけ?
忘れちゃったけどまあいいか、と思いつつ幸村くんの元へと向かった。



「幸村くん、パンとおにぎりは選び終わったよー」

「俺もちょうど終わったところ」



そう言われて彼のカゴを見てみれば、その中には8本のペットボトルが。



「わ…、重そう」

「このくらい全然平気だよ」

「さすがテニス部だねっ」

「いやいや、テニス部関係ないから。ほら、結構軽いよ?」



カゴを手渡されて、その瞬間、ぐいっと体が傾く。
そんな大袈裟なほど重くもないけれど、でもまあ重いと言えばそれなりに重い。
きっと私の場合、長時間持っていることができないだろう。
……こういう時、普段鍛えている人とそうでない人の差がはっきりと出るから、すごくもどかしい。
やっぱり幸村くんに飲み物任せておいてよかった、と思いながらカゴを返した。



「やっぱり私には少し重いよ」

「そう?……まあ女の子だからね、」



女の子扱いされて、キュンとときめく。
ななな、なにあの微笑み!(まさに王子様スマイル…!)
ああ、今日はときめきまくりだ。
まあ素敵すぎる幸村くんにときめかない日なんてないけどね!

あーもう、顔がにやけるーっ!



「…………花島、さん?」

「えっ……な、なに?」

「頬が緩んでる」

「う、うそ!?」

「ふふ、本当にわかりやすいな」

「………!!」



笑われた…!!
しかもよりによって幸村くんに笑われた…!!

私は少しだけショックを受けて、がくりと肩を落とす。
好きな人に笑われるなんて、恋する乙女にはものすごいダメージなのだ。
うわぁぁぁ…!
めちゃくちゃ恥ずかしいーっ!
……いや、でも元はと言えば幸村くんが悪いんだよね?
だって、こんなにも私を魅了するから!
だからつい、1人でにやにやしちゃうんだよ!
これってやっぱり変なの?
好きなら、相手のことをずっと見ていたいと思うのは当たり前じゃない!



「そういえば、花島さんの飲み物は?」



そう言われて、今更ながらに気づく。
そういえば自分のものを一切買ってない…!
私は飲み物コーナーにて、一番最初に目についたものを幸村くんのカゴに入れた。



「じゃあミルクティーで!」

「お腹は空いてないの?」

「あ、うん……あんまり……」



「でも、少しだけ」と話を続ける。
そしてどこのコンビニでも大抵はあるデザートコーナーへ行き、なにを買おうかと考えた。
プリンもいいけど、ゼリーも食べたいし……
でも、だからといって2つも食べたら太るし……
太ったら幸村くんに今以上に嫌われちゃうし……
ああもう、乙女心は複雑だ。



「あ、チーズケーキだ…」



それに、シュークリームやティラミスもある。
ゆ、誘惑に負けるな私……!
別にお腹が空いてるわけじゃないんだから、1つだけで充分だよ……!!

ああ、でも全部食べたいーっ!



「決まらないの?」

「うん……」

「ふふ、やっぱり花島さんも女の子なんだね」

「……え?」



……なに?
花島さんも……ってなに?
ていうか今の台詞、少しトゲなかった?
もしかして私、今まで彼に女の子として見られてなかったってことですか?
そそそ、そんなあああー!!

でも………よく考えてみればそうだよね、私幸村くんに猪って言われたことあるもん。
……私以外に猪呼ばわりされる女の子って滅多にいないよね…(今更だけどへこむなぁ…)

き、きっとそれは幸村くんなりの私への愛なんだよね!
猪とか言っていじめたくなっちゃうほど私のことを想ってくれてるんだよね!
きっと!多分!そうだったらいいな!

…………切ない。





可愛らしい子になりたい

(女の子らしくて可愛い子になったら、幸村くんは私のこと見てくれる?)





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