「えっと…………こうっスか?」

「違うよ、ここは原形を使って」

「あーもう!わっかんねー!!」

「ああああ………なんでこんなに理解力ないの……」



ふらり、机に突っ伏す私。
切原くんに英語を教えることになったのはいいものの…………
もう、限界だ。
まだ教え初めてから30分くらいしかたってないけれど、もう無理。絶対無理。
だってこの子、文法はもちろん、単語の意味さえも曖昧で分からないんだもん……!
てか、さっき中1の範囲の単語間違えてたし。
writeも簡単な単語ではあるけれど、でも彼はさっきstudy間違えてたよ?
…英語が苦手にもほどがある!(今までテストの時はどうしてきたんだろう……)



「花島さん、赤也に理解力を求めちゃ駄目だよ」

「……………よくわかりました…」



幸村くんの言葉に、頷きながら溜め息をつく。
なんかもう疲れてきた…
って、なんでこんなに疲労感があるんだ私。
……ああっ、でも幸村くんの麗しい姿を見ていたら疲れなんて一瞬で吹っ飛ぶ…!!
さすが幸村くんパワー!



「しょうがないな、俺が代わろうか?」

「え、ほんと!?ありがとーっ!」

「ふふっ、覚悟して赤也。俺は花島さんのように優しくはないよ」

「ひいい…!!」

「大好き幸村くんー!」

「はいはい、わかったから静かにね」



にっこり笑顔で軽くあしらわれる。
ぜ、絶対にわかってないでしょ幸村くん…!
私がどれだけあなたを想っているのか!

………もうっ、いつも笑って曖昧に濁すんだから。
それでも私は幸村くんが大好きなんだけど、ね。

そして、その大好きな彼は切原くんと勉強を始めたので、私は邪魔にならないようにと席を移動した。
幸村くんをずっと見ていたい気もしたけど、でも、そうしたらすごく怒られそうだから……(幸村くんに)

丸井くんが一生懸命勉強してるようだったので、私は彼に近付いた。



「ちゃんと勉強してるんだ」

「ああ、花島か。当たり前だろい、赤点なんか取りたくねぇし」

「そっか、えらいね」

「つーかお前も勉強しろよ」

「もうしたもん」

「それじゃ足りないし。赤点取っても知らないからな」

「…うっ………」



ちくり、と丸井くんの言葉が胸に刺さる。
確かに赤点は取りたくない。
でも、私は今までに取ったことないし…今回も大丈夫かな、なんて思ってた。
苦手な数学も、教えてもらったから少しは出来るようになったし、だけど……うん、やっぱり用心したほうがいいに決まってるよね。
よし、丸井くんの隣で勉強再開しようかな!



「隣いい?」

「え、前に座ってたとこは?」

「切原くんがね、幸村くんと勉強してるの」

「ふーん……」

「駄目、かな?」

「い、いや、むしろ大歓迎だけど、さ」

「ほんと?よかったー!丸井くんに断られたらどうしようかと思ったよ」



ほっと安心しながら隣に座らせてもらえば、丸井くんは少しだけ俯いていた。(心なしか、耳が赤い)
どうしてかな、と思い顔を覗き込めば、びくっと後ろへ勢いよく後ずさる。



「え、?」

「あ……わ、わりぃ!」

「どうかした…?」

「い、いや、急に近付いてきたから驚いただけ」

「……?」



少しだけ頬が赤くなっているところから考えると、もしかして照れたのかな?
いや、でも私が丸井くんのところに来て3分くらいしかたってないのに、どこらへんに照れる要素があったんだろう。

…………私の気のせい…なのかな?
まあ、どっちでもいいけれど。



「花島、」

「あ、桑原くん」

「アイツどうしたんだ?」

「うーん……よくわかんない」



なんで赤いのかなんて、私にはわからないよ。



「ブン太、大丈夫か?」

「あ、ああ、大丈夫に決まってんだろ、い……」





たかが3分、もう心臓壊れそう

(本当は、全然大丈夫じゃねえけど)

title:)DOGOD69





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