あれから私は、3人に連れられて、やっと真田くんちに着くことができました。



「さあ、花島さんも揃ったことですし、始めましょうか」



柳生くんの言葉によってやっと勉強がスタートする。
でも私は部屋の中が気になって、きょろきょろと見回していた。
きれいな和室だなあ……
………あ、掛け軸とかあるし。(すごい高そう)

本当に真田くんちって純和風な造りだ。



「どうしたの?きょろきょろして」

「あ、ううん、なんでもないよ」



そうだ、私の隣は幸村くんだったっけ。
うふふふふ、なんてラッキーなの……!
ずっと幸村くんの隣にいられるなんて!(幸せすぎるーっ)

あの、くっついていいですか?(絶対に怒られるよね)
ていうか、ずっと幸村くんを見ていたい………いや、それよりも勉強しなくては。
ああっ、でも見ていたい……っ!!

だって、今日の幸村くんはいつもより数十倍素敵すぎるんだもん。
やっぱりセンスいいんだなあ…
私服が似合いすぎてるんだけどどうしよう!(かっこよすぎるよ幸村くん…!)



「今日の幸村くん、かっこいいね」

「そう?」

「うん!ていうか、いつもかっこいいけどね!」

「あはは、褒めてもなにも出ないよ」



ああもう、笑うと更に素敵さが増す……!



「別に褒めて――――ひゃ、ぁ!!」



別に褒めてないよ、と言おうとした時のことだった。
突然誰かに太もものあたりを撫でられて、悲鳴にも似た声をあげる。
慌てて幸村くんじゃないほうの隣、つまり右隣を振り返れば、そこにいるのは仁王くんで。
彼にやられたのだと瞬時に悟った。



「な、なにするのよ!」

「いやー、やっぱり生足はええのぅ」

「ひっ…!に、にお、くん!手離してよ!こ、この変態セクハラ野郎!!」

「おっと」



殴りかかろうとしたら、上手く避けられる。
ていうか、いつも避けられてる気がするんですけど……!(反射神経がいいってことかなぁ)
……………って、そんなことよりも!!
私いまセクハラされたよ!?
太もも撫でられたよ!?
きゃああああ、お巡りさん助けてー!!

頭の中でパニックを起こす。
だって、まさかこんなことが起きるなんて予想もしなかったんだもん。
……昨日、今日着ていく服を選んでいたとき、私は結局ショートパンツを選んだ。
動きやすそうだから、って。
でも、まさかこの選択があだとなるなんて………っ!
いや、でもどっちみちこういうことになる運命だったのかも。
だってスカートを選んでいたとしても太ももは出てるし………
それに、もしスカートだったら仁王くんにめくられてたかもしれない。(この人だったら本当にやりそう)
うーん、だとしたらショートパンツで正解だったということになるのかな………?



「セクハラで訴えるよ!」

「ほう、できるもんならやってみんしゃい」

「なにその態度…!」

「まったく、花島はシャイすぎるぜよ」

「そういう問題じゃないでしょ!」

「ククッ、そんなこと言って実はもっとされたいんじゃろ?」

「ああもう、この人の隣やだ……!」



なんかもう話すだけで疲れてくる……………と、そんなことを考えていたら。
真田くんの険しい顔が目に入ってくる。
ひいい、なんかすごく怒ってる……!?



「ちゃんと勉強せんかお前ら!」

「わああっごめんー!」

「……うむ、わかればいい」



大人しく教科書類を取り出して勉強を始める。
最初は…………うん、数学がいいかな。
そして、仁王くんに文句を言うために小声で話し出した。



「もう、仁王くんのせいで怒られちゃったじゃん」

「人のせいにするのはよくないと思いまーす」

「してないし!本当のことでしょ」

「ほら、勉強するんじゃろ」

「むーっ、話そらしたー!」



彼も真剣に勉強を始めたみたいだし、と私も教科書とワークに目を通す。
苦手科目はあんまりないけど、でも、しいていうなら数学かなあ?
方程式、ちょっと苦手なんだよね…
あ、そういえばこの間わからない問題があったんだっけ。
………よし、誰かに聞こう!



「えっと、この中で数学出来る人いる?」

「あ、俺できるよ」

「ほんと!?」



名乗りをあげてくれたのは、私の愛しの幸村くんだった。
きゃああ、やっぱり幸村くんは頭いいのね……!(さすが…!)



「あの、ここがね――――」

「俺も数学なら得意ぜよ」

「………仁王くん」



むむむ、ここでも私たちの仲を邪魔するのか!
………いや、教えてくれる人はたくさんいたほうがいいと言えば確かにそうなのだけど。
でも、こうなるとどっちに教えてもらえばいいんだろう。
うーん……個人的には幸村くんに教えてもらいたいんだけどな…(こんな素敵なシチュエーション、めったにないしね!)
でもそうすると仁王くんのせっかくの好意が………
嫌なやつだけど、教えてくれるって言うなら断ることはできないし。
ああ、一体どっちを選べばいいの………!!
私の大好きな幸村くんと、セクハラ男の仁王くん。
いつもなら幸村くんのほうを即選んでいるところなんだけど……

…………ええい、こうなったら2人に教えてもらおう!



「じゃあ、両方に教えてもらおうかな」

「わからないのはどれ?」

「あ、えっと、ここなんだけど」

「なんじゃ、ここは普通わかるところじゃろ」

「う………」

「ふふ、まあ焦らずに解けばなんとかなるんじゃない?」

「いや、ゆっくりやっても出来なくて…ね?」

「………馬鹿?」

「あああ、幸村くんに馬鹿扱いされた…!」



ぐさりとささる、愛しの彼の言葉。
でもでもっ、そんな容赦ないところも大大大好きです…!



「まあ、最初からわかっとったけどな」

「多少は馬鹿なほうが可愛げがあっていいじゃん」



って、仁王くんと丸井くんまで!?





苦手科目:数学

(そんなに馬鹿馬鹿って言わなくてもいいじゃないですか…!)





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