「うう……」



近くにあった階段にうずくまりながら、丸井くんまだ来ないかなぁ、なんて考える。
確かもう、私が電話してから20分くらいたったはず。
……やっぱり、ここって真田くんちから離れてるのかなあ…
ああ、なんで私こんなところにいるんだろう。

それに、丸井くんにまた迷惑かけちゃった。
いくら幼なじみだからって、いつも頼りすぎだよね私……
……丸井くんってすごく面倒見がいいから、ついなにかあると頼りにしてしまうのだ。
この癖、いい加減どうにかしなければ…!



「おーい、花島ー!」

「あっ………!」



聞き慣れた声に呼ばれたかと思えば、それは丸井くんで。
こちらに向かいながら、手を振っていた。
なんでかは知らないけれど、横には幸村くんと仁王くんもいる。



「大丈夫だった?花島さん」

「ゆゆゆ、幸村くんまで来てくれたの…!?ありがとーっ!」

「わ、っ」



あまりの感動に、勢いよく幸村くんに抱き付く。
突然のことだったから、幸村くんは目を見開いていた。
あああ、なんて幸せなの…!
まさか愛しの彼が迎えに来てくれるなんて!(やっぱり優しいなあ!)

……なんて考えていたら、「はい、そこまでー」なんて言って仁王くんが私たちを引き剥がす。
あれ、前にもこんなことがあったような……
確か、あの時は幸村くんが切原くんと私を引き剥がしたんだっけ…?



「なにするのよー!私が幸村くんと愛し合ってるときに!」

「そんなの知らん」

「ていうか、いかがわしい言い方やめてくれないかな。なに愛し合ってるって」

「そんなっ……!」

「うわー冷たいのぅ。花島、この際幸村なんてやめて俺にしんしゃい」

「や、やだよ!」

「って、なに口説いてんだよ仁王!」

「口説いちゃ悪いんか?ヘタレなブンちゃんは口説くことも出来んくせに」

「うっ………」



ニヤリと笑う仁王くんと、言葉に詰まる丸井くん。(恨めしそうに仁王くんを睨んでいた)
そしてその様子を、横から傍観している幸村くんと私。
……なんだか、微妙な雰囲気になってきたような気が…



「まあ、口説くといえば仁王が一番上手そうだよね」

「あー、うん……」



確かに、仁王くんが一番女慣れしてそう。
で、丸井くんは意外にも奥手っぽい。
…だってこの間、丸井くんちに行ったとき赤面してたもん。(理由はよく分からなかった)
幸村くんはどうなのかな?
たくさん寄ってくる女の子がいるけど……
ま、まさか、口説いたりとかしてないよね!?
嫌だぁぁぁ!!!
誰かを口説いてる幸村くんなんて見たくない―――っ!!



「幸村くんは女の子を口説いたり、しないよね…?」

「さあ、それはどうだろう?」

「そ、そんなのやだよ、私だけを口説いてぇぇぇ!!」

「ふふ、そんなに口説いて欲しいの?」

「えっ、あ、はい!」

「じゃあお望み通り、してあげようか」



そう言って私の頬に手を添えたかと思えば、にこりと笑う彼。
その笑顔があまりにも素敵だったから、見惚れてしまった。
鼻血出そう…!!(色っぽい…!)

そして、胸がドキドキと高鳴る。
触れられている頬が異様に熱かった。
うあああ、心臓が壊れちゃうー!!
や、やばいよ本当に!
私、幸村くんになら一発で落ちる自信あるもん…!
いやむしろ1秒で落ちる!



「…………なーんてね」

「え、」

「ふふっ、冗談だよ。期待した?」

「!幸村くんの意地悪!」

「でも、花島さんは俺のそういうところが好きなんだろ?」

「それはそうだけど…」



にこやかに笑う彼を見て、またもや胸がときめく。
確かに私は、幸村くんのそういうところも含めた、すべてが大好きで愛してるのだけれど。



「ほら、早く行こう」

「うん…あ、でも2人がまだ言い合いしてるよ」

「そんなのほっとけばいいよ」

「………そうだね!」



そうして、私たちは歩き出す。
丸井くんと仁王くんはそれに気付かずに、睨み合っていた。

まあ、彼らをほっとけば私は幸村くんと2人っきりで話せるからいいかな。



「「……って、置いてくなよ!」」



あ、気付かれちゃった。





君と戯れる

(ふふっ、逃げようか花島さん)
(うん!)

title:)DOGOD69





:)戻る
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -