「うーむ………どうしよう……」



ベッドの上にいろいろな服を並べて、頭を抱える私。
天気の良い土曜日の昼間だというのに、部屋にこもって一体なにをしようとしているのかというと、実は……………そう、明日の勉強会に着ていく服を選んでいるのです。

べつに遊びに行くわけじゃないんだし、勉強会ごときにこんなに悩むことはないのかもしれない。
……………でも。
私の場合はそうも言っていられないのだ。
だって、幸村くんが来るんだもの……!!
やっぱり好きな人には可愛く見られたいもん。
恋する乙女なら、誰だってそう思うよね…?

だから私も、幸村くんには可愛く見られたいから頑張るのです。



「………………」



スカートとショートパンツを手に持ち、全身鏡の前に立つ。
うーん、どっちがいいかなあ………
明日は暑いらしいし、なるべくだったら涼しい格好がいい。
でも、一体どっちが幸村くんの好みなんだろう………
ていうか、幸村くんの好みってなに?
………え、本当になんだっけ?
あれ?あれれ?
私ってば好きな人の好みさえ知らないの?(な、なんてことだ……!!)
どどどどどうしよう!
花島りこ、一生の不覚!
…今頃気付いたけれど、まさか愛しのダーリンのことを何も知らないなんて。
好きという気持ちだけで今まで動いてたのだから、そんなことを気にする余裕なんてなかったのだけれど。

でもこれじゃあ私、幸村くんのお嫁さんになれないよ…!(多分これ本人の前で言ったらすごく怒られると思う)

…………よ、よし!
ここは誰かにリサーチしてみよう。
えっと、幸村くんと仲がいい人…あ、たとえばテニス部とか……
でも、私みんなのアドレス知ってるっけ?



「んー、………あ」



ぴぴぴっと携帯の中のアドレス帳を確認する。
どうやら、テニス部は丸井くんと桑原くんと仁王くんのしか知らないみたいだ。(ちなみに、仁王くんのはこの間交換しました)

さて………一番相談しやすいのは誰?

とりあえず、仁王くんは絶対に嫌だ。(しゃれにならない嘘つかれそうだし……ね)
でもそうなると、残りは丸井くんと桑原くんということになる。
うーむ…どっちかというとメールする回数が多いのは丸井くんのほうだし、彼に聞いてみようかな。

そう決めたあとに、すばやく文章を打つ。
ベッド上の服を端へ寄せておいて、軽くダイブした。
ここはやっぱり、聞きたいことをストレートに聞いた方がいいよね!



「幸村くんの好きなタイプって知ってる?、っと………送信!」



どんな返事が返ってくるんだろう?
………なんて思っているうちに、携帯が震えだした。(いつも思うけど、早いなあ)



-------------------
 ○/× 14:32
from 丸井ブン太
sub re:
-------------------

俺は食いもんくれる子
がいいと思うけどなー


- END -

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………ってオイィィィィイ!!!
それ丸井くんの好みでしょうが!



「丸井くんの好みじゃなくて、幸村くんの好みが聞きたいの!………送信!」



-------------------
 ○/× 14:35
from 丸井ブン太
sub re2:
-------------------

あー、幸村?
確か前に健康な子が
好きって言ってたけど


- END -

-------------------



「健康…な子………!?」



ななな、なにそれ!
健康な子って……つまり……その……
えっと、一体どういうことですか?
そんな、健康な子がタイプだったなんて……初耳だよ!
あっ、でも、もしかすると私にぴったりかもしれない。
だって私健康だもんね、虫歯ないしめったに風邪ひかないし!

っていうか……………



「幸村くんストライクゾーン広すぎだろぉぉ!!」



健康なら誰でもいいってことなの…!?
い、いや、そんなことないよね?
私の幸村くんにかぎって、そんなことはないよね……?





彼の好きなタイプ、リサーチ

(結局、私はなにを着ていけばいいんだろう)





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