「……ということで、私も勉強会に参加することになりましたー!!いえーい!」
「「「………………え?」」」
放課後。
部活が始まる前のテニス部部室に、私はまた訪れていた。
そして、私の発言にみんなは一時停止する。
目をぱちぱちとまばたかせて、こちらを凝視していた。
………あれれ、私変なことは言ってないよね?
「な、なんで花島が」
「丸井くん……駄目だった?」
「そんなことねえけど、でもなんでいきなり?」
「幸村くんと切原くんにね、誘われたの」
「え、マジ?」
「マジですよ。ねーっ幸村くん!」
「ふふっ、そうだね」
私の斜め後ろに立って、にこりと笑いかける幸村くん。(これぞまさしく天使の笑顔……!!)
今日も素晴らしくキラキラしてるなあ。
他の人とはオーラが違うよね、オーラが!
「どーせ、幸村の私服姿が見れるからって理由で承諾したんじゃろ」
…………え?あ、あれ?
もしかしてバレてる?
「ななななな、なぜそれを!」
「やーっぱり図星か」
「だ、だって、私服姿を拝める機会なんて滅多にないから……」
「メインは勉強だということはもちろんわかっとるんじゃろうな?」
「わ、わかってるもん」
私、幸村くんばっかり見てないでちゃんと勉強するよ。(多分)
みんなにも勉強を教えたりするよ。(……数学以外ならね!)
だから………幸村くんの私服姿が目当てだとしてもそれはそれでいいじゃないかあああ!!
てか、いちいち仁王くんに言われる筋合いはないと思うんですけど!
お願いだから私の幸村くんへの想いを邪魔しないでください…!
………思えば、初対面のときからそうだ。
この人には邪魔ばっかりされてる気がする。
お昼ご飯を一緒に食べたときだって、仁王くんのせいで幸村くんに誤解されたし、この前だって、誤解されそうなことをされたし。(ていうより、後ろから抱きつかれた)
あっ、もしかして彼は私と幸村くんの仲を引き裂こうとしてるのか……!?
どどど、どうしよう!!
思わぬところに敵が潜んでたぁぁ!
でも、私から幸村くんを奪おうなんて百年早い。
ふふふ、私の執念なめんなよ!
「はいはい、花島さんの気持ちはわかったから、いいかげん仁王を睨みつけるのやめようね」
「幸村くん……」
彼に肩を掴まれて、ぐるりと体ごと方向を転換させられる。
それまでは仁王くんが目の前にいたのに、今の私の目の前には、愛しのダーリン幸村くんがいた。
あっ、そうか。
私が仁王くんばっかりを見ているのが嫌だったのね…!
………まさかやきもち?
きゃあああ、可愛いなあ幸村くんってば!
「心配しなくても大丈夫だよ、私の視界に入ってくるのは幸村くんだけだから」
「何の話?俺は別に心配なんてしてないけど」
「ああ、意地っ張りなところも素敵…!」
「ふふ、今の会話のどこをどう解釈したら俺が意地っ張りになるのか教えて欲しいよ」
…………………うん、相変わらず冷たい。(悲しすぎて泣きそう)
どうしていつもいつも私の愛が伝わらないの…!
いや、照れてるだけだよね。
あれはきっと照れ隠しなんだよね。
…………だよね、幸村くん…?
そう思いつつ、がくりと肩を落とす。
なんか自分で言ってて悲しくなってきたよ……
なんで報われないのかなあ、私。
ねぇ幸村くん。
どうしたら私はあなたに好きになってもらえるの?
「では、花島も参加ということで良いのだな」
「うん……」
「時間は午後1時からで、場所は俺の家だ。覚えておけ」
「………はーい」
「…?どうした」
「…なんでもないよ、真田くん」
「……………」
ただ、すこしだけ悩みが出来ただけで。
どうやったら私、好いてもらえるのかな…?
「花島さん」
「なに…?」
突然話しかけてくる幸村くん。
どきんと、胸が高鳴った。
「明後日、楽しみにしてるから。花島さんと会えるの」
「…………!」
「ふふふ、」
なんでなんだろう。
幸村くんにそう言われただけで、胸が暖かくなって。
さっきまで不安で仕方なかったのに、今ではほら、悩みなんてどこかへ飛んでいっちゃった。
しかも、会えるの楽しみにしてるって…!
あああっ、やっぱり幸村くん大好きだぁぁー!
うかれてしまいます、その一言
(私も幸村くんに会うのすごく楽しみだよ!)
title:)DOGOD69
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