朝練後の部室に集まる9人。

もうそろそろ、教室に行かなければならない……といった時間なのに、私たちは未だに話していた。



「他にも幸村くんのおっかけはいるのに、なんで私だけが有名なの?」

「見学している他の生徒でさえもお前ほどは目立たないぞ」

「……えっ……」



まさかまさか、みんなに名前を知られるくらい目立ってただなんて……(めちゃくちゃ恥ずかしい)
あー、やっぱりもう少しおとなしく幸村くんのことを見てればよかったのかなあ。
でも、あれは幸村くんに私の存在を気づいてもらうための行動で………っ!
………ん?待てよ?
柳くんの話を聞いていると、見学している人(テニス部のファン連中)の中で、私が一番目立っていたということに………



「いや、確実に花島が一番目立ってたな」



目立つ=一番熱心に声援を送ってる!
わあ、さっすが私……!!(つまり一番幸村くんに対しての愛が大きいということじゃないですか!)



「これも幸村くんへたくさんの愛情を注いだ結果よね……うふふ」

「なんか花島がぶつぶつ言い始めたぞー」

「ほっといてあげなよブン太」

「そうだな…」

「ええっ、二人とも放置プレイ!?」

「ふふっ、いかにも花島さんが好きそうなプレイじゃないか」



にっこり、満面の笑みで恐ろしいことを発言する幸村くん。
周りの温度が5度くらい下がった気がした。
て、ていうか、放置プレイだなんて……!
私そんなマニアックなもの好きじゃないよ!
それに、私はそんなにMじゃないよ!



「嘘つくなんて感心しないな。好きだよね?」

「あああ、また心の中を読まれてる…!!って好きじゃないよ!」

「『私はMです』って顔に書いてあるけど」

「ぎゃー!!そんなもの書いてないってば!」



私は決してMじゃない!(………よね?)
確かに私の大好きな幸村くんにならどんなことをされても耐えてみせる自信があるけど…
でも、なんでよりによって放置プレイ!?(寂しいよーっ)
………………なんて内心パニックに陥っていたら、助け船を出したように桑原くんが話を変えた。



「そういえばなんでこんなところにお前がいるんだ?」

「あっ………よくぞ聞いてくれました!あのね、私、丸井くんと桑原くんに用があったんだ」

「俺とブン太にか?」

「そう。ほら、昨日丸井くんちに行ったでしょ?それで私、途中で寝ちゃって二人に迷惑かけたから謝りたくて……ごめんね、運んでくれてありがとう」

「おう、あんま気にすんな」

「そーそー、いつものことだろい?小さい頃とかよく寝てたじゃん」

「うっ………」



小さい頃、という言葉に反応する私。
確かに、遊んでる途中に寝てしまったことは少なくない。
でもでもっ、それはあくまでも小さい頃の話で……!
中3になった今では、ちゃんとその癖を克服したはずだったのにーっ!!



「寝る子は育つって言うよね」

「花島は発育がええからのぅ」



幸村くんの言葉に、仁王くんが便乗して発言する。(これセクハラ発言だよー!!)
…そしていきなり肩を組まれた。
私の身長が彼よりも小さいためか、必然的に私に体重がかかるようになって………
うぐぐ、すごく重い。
それに、腕で首が苦しいんだけど…!

てかこの人スキンシップが激しすぎるんだよね。
いちいち触ってくんなよぅ……っ!!
ドキドキしてしまう、というか。
不安になる、というか。
とにかく、やめてほしいなあ、なんて思う。



「仁王くん、重いって!苦しいって!」

「それは俺の愛の重さじゃ」

「んなわけあるか!………っうあ、く、首しめないでよおおおおっ」

「しめとらん」

「嘘つきーっ!」

「ふふ、いつのまに仲良くなったのかなあ二人とも」

「ぎゃー!違うの幸村くん!全然仲良くなーい!!」

「この間もじゃれあってたじゃないっスか」

「切原くんは黙ってなさい!」



あーもう、真田くんとか柳生くんとか、黙ってないで助けてくれたらいいのに!
……………って、あの人たち私がいるのに着替え始めてるし―――!!
あああ、もうあっち見れない…っ!!

………そんなことを思いつつも目を逸らしたら、幸村くんたちでさえも着替えを始めていて。(仁王くんもいつのまにか私から離れていた)

いくらなんでも女の子の前で着替えだすのはやめようよテニス部レギュラー………!!

ううっ、目のやり場に困るんですけどどうすればいいんですか!?
なんだか恥ずかしくなってくる……っ!



「わ、わわわ、私もう行くね!用事住んだし!」

「ああ、じゃあまたあとで」

「うん!丸井くんも桑原くんも昨日はほんとありがとう!!バイバイ!」



そして、そそくさと私は部屋をでていく。
だってあんなところにいたら心臓もたないよ……
………あ、でも幸村くんの着替えシーンなら見たかったかも……(って、なにいかがわしいこと考えてんの私!)









「それにしても、なんであんなに慌ててたんだ?」

「きっと照れてたんスよー!」

「はあ?照れるって、あいつが?なんで?」

「俺たちが着替えてたからに決まってんじゃないっスか。鈍いなあ、丸井先輩は」

「………う、ワカメのくせに生意気!」

「って、それワカメ関係ないっしょ!?」

「お前ら騒がしいぞ!」

「「げっ………」」

「たるんどる!!」

「…俺は一番騒がしいのは真田だと思うけど?ふふ」

「「「……!!!……」」」





彼女のかわいいところ、発見

(まあ……花島さんも一応女の子だしね。気にするのは当たり前かな?)





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