今日もまた帰りに練習を見ていこうかな、なんてコートを覗いたら、人が全然いなかった。
ああ、今日は休みなのか……と少し肩を落とす。(だって、幸村くんの勇姿が見れないなんて…!!)
そういえば今朝丸井くんに会ったとき、いつもラケット入れてるバッグを持ってなかったような………?
……くそう、あの時に部活あるのか聞いておけばよかったのか…!



「はうぅ…………暇だなあ」



最近は毎日、放課後はコートにいりびたっていたから。
だから今日みたいに休みの日は、とてつもなく暇だ。(なにもすることないし)
あーあ…………誰かの家に遊びにでもいこうかなあ……?
なんて考えても周りには誰もいなくて。
私は仕方なくとぼとぼと歩きだした。

学校を出てしばらくすると、前方に人が見えてくる。
よーく目をこらせば、それは赤髪の子と色黒な子で、それが丸井くんと桑原くんだと分かった私は彼らに向かって走り出した。



「丸井くーん、桑原くーん!」

「?………あ、なんだ花島じゃねえか」

「二人とも今日は部活なかったんだねー」

「前に言ってあっただろい?」

「え?あ、あれ?私聞いてないよ?」

「そうだっけ?」



多分言った気がするんだけどなー、なんてガムを膨らませながら言う丸井くん。
私は聞いた覚えないなあ、と思うんだけど………………………まあ丸井くんを責めてもしょうがないよね。
そして、今度は三人で並んで歩きだす。
彼らは私の昔からのお友達なのだ。
小学校が同じで、だからよく遊んだ覚えがある。(桑原くんは途中からの転校生だけどね)
家もそれなりに近いし……………
なにより、親同士が仲良しなのです。



「そうだ丸井くん、」

「あ?なんだ?」

「今日…丸井くんち遊びに行ってもいい?」



暇だから、と思い駄目元でおずおずと問いかければ、おう!なんて返事がかえってくる。
よかった断られなくて…、なんてほっとしながら話を続けた。



「ちょうど、今日はジャッカルも来るんだぜい!」

「そうなの?」

「ああ。ほら、もうすぐテストあるし」

「あ、そっか……そういえば忘れてた…!」



桑原くんの言葉に、再来週行われる予定のテストのことを思い出す。
あああ最悪だ、まだテスト勉強なんてしてないよ…!
……………でも大丈夫だよね、きっと。
赤点をとらなければいい話だし、全然大丈夫だよねっ!(多分)

そして丸井くんの家につく。
入っていったら、りこちゃん久しぶりねえ、なんて丸井くんのお母さんに出迎えられた。
優しそうなお母さんでいいなあ、なんてね。



「適当に座っといて」

「あ、うん。………わあ、なんだか懐かしいかも」

「三人で集まるの久しぶりだもんな」

「桑原くんは今でもよく丸井くんち来るの?」

「おう、同じ部活だし」

「そっかぁ」



きょろきょろ、と周りを見渡せば、いくつかのアルバムが私の目に留まる。
なんだか気になって、丸井くんに見てもいいか聞いてからそのアルバムを手にとり開いた。
…………すると。
一番に目に映ったのは。



「これ……………」

「ああ、去年優勝したときのだな」

「きゃああ、若い幸村くんだ――――!!!!」

「若いもなにも……一年前だろい」



アルバムの適当なページを開くと、そこの一番上に貼ってあったのが集合写真だった。な、なんて素敵なの幸村くん…!
幼い彼もいいな、なんてちょっぴり思ってしまう。
…でも、やっぱり私が好きなのは今の男らしい幸村くんだ。(どっちもかっこいいけれど!)
ていうかどんな幸村くんも愛してる!
あ………仁王くんもなんとなく幼いなあ……
丸井くんは相変わらずちっちゃいけれど。
そして、どんどんページを戻していくと、今度現れたのはさらに幼い丸井くんだ。(私も写ってるし、小学校のときのかな?)



「あはは!見てこれ可愛いー!!」

「なっ、前のページ見んなよ!中学のときのだけ見ろい!!」

「ほら、これとか女の子みたい!」

「嬉しくねえし!あ、てめっ、このやろ…っ!花島――――!!!」

「きゃーっ」

「はあ……なにやってんだお前ら…………」



アルバムの取り合いをしていた私たちを、呆れた表情で眺めてくる桑原くん。
我にかえってお互いを見返してみると、まるで丸井くんが私に襲い掛かってるみたいな体勢で。(押し倒されてる、みたいな)
彼はよくわからない声をあげつつ、顔を耳まで真っ赤にして離れていった。
そして桑原くんが勉強しねえのか?なんて言うものだから、丸井くんは大人しく勉強をし始める。(まだ林檎みたいに赤い……)



「丸井くん…?ど、どうしたの?」

「な、なななななんでもねえし!」
「でも顔が……」

「うわあああ、み、見るなーっ!」

「え、?」



いきなり机に突っ伏して顔を隠そうとする彼に、きょとんとする私と苦笑いする桑原くん。
なんだか今日の丸井くんは変だ。(いつもより)
……そう思いつつ、辺りを見回す。
久しぶりに丸井くんの部屋に入ったけど、相変わらず変わってないなあ。
懐かしい……まるで小学生の頃に戻ったみたい。
そう思うと、ふふふ、なんて思い出し笑いが止まらなくて、壁に寄り掛かりつつ近くにあったクッションを抱きしめた。
顔を埋めれば丸井くんの匂いが鼻をかすめる。
でもそれが女の子みたいな甘い香りだったから正直びっくりした。(いつもたくさんお菓子食べてるからかな…?)
そして、目を閉じればだんだんと睡魔が襲ってきて、うとうとしながら二人の会話を聞いていた。


う、あ………ねむ…………





in丸井くんち

(この睡魔はどうすればいいのですか)





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