「今日も部活?」



夏休みも終わりに近づいてきたころ。



「うん、夕方までね」

「じゃあ俺も行く」

「別にいいけど………」



初めて学校に来たあの日から、精市はよく部活を見にくるようになった。
精市、テニス部に入ってるって言ってたし……やっぱりテニスが好きなんだろうなあ…
そういえば時々アドバイスとかもしてくれるし。

…なんて色々と考えつつ、玄関を出る。
精市と普段通りの会話をしながら、学校への道のりを歩いた。





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「きゅうけーい!」

「「はーい」」



部長からの休憩の合図で、私を含めた部員たちはくつろぎだす。
おしゃべりをする者、ドリンクを飲む者………多種多様だ。

そして私は精市の元へ行こうとしたら、彼はまた女の子たちに囲まれていた。

むっと感じる、嫉妬感。
こんな醜い気持ち…嫌だ。



「顔…洗ってこよう……」



そう言って、精市の方へ向けていた足を水道のある方向へと修正する。
いつの間にか走っていたらしくて、私は息を乱しながら水道の前へと立った。

………自分でも情けないとは思う。
あんな些細なことで、こんなにも心乱されるなんて。
精市は悪くない。
女の子たちも悪くない。
だって悪いのは、私自身だから……

あんなことで嫉妬するなんて、私どうしちゃったの?
おかしいよ……!


じゃーじゃー、音を立てて流れる水を両手ですくって顔を洗う。
水の冷たさが、私の嫉妬を全て消していってくれるような気がした。



「中村、」

「っ、!!」



いきなり名字を呼ばれて、はっとする。
慌てて顔をタオルで拭けば、近くに男子テニス部の吉田くんがいた。
吉田くんとは同じクラスで、よく話したりする。



「びっくりした、なに?」

「最近よく一緒にいるあいつ……誰?彼氏?」

「……ああ、彼氏なんかじゃないよ。ただの知り合い」

「そっか……よかった」

「え?よかった?」

「いや!なんでもないっ」

「ソラ、」

「………あ、精市」



後ろから現れたのは、さっきまで女の子たちに囲まれていたはずの彼だった。

少し…殺気立っているような気がする。


まったく、なんなんだこいつは。




クラスメイトの吉田くん





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