「お疲れ様」
「…………ん」
それはちょうど部活が終わった頃のことだった。
急いで帰る支度を済ませて精市の元へ行けば、かかってくる言葉。
なんだか、暖かい。
こうして自分の帰りを待っていてくれている人がいるのって、なんて幸せなことなんだろう。
「今日知ったけど、ソラってオールラウンダーなんだ」
「…そうだけど」
「ふふ、俺と一緒だね」
「えっ」
精市も、か。
まあ唯我独尊な彼にはぴったりだろう。
「今度お手合わせ願おうか」
「は!?やだよ強そうだもん!精市に勝てる気しない!!!」
「最初から諦めてどうするのさ。大丈夫、ちょっと五感とか奪ったりするけど」
「それ全然大丈夫じゃないよね!もはや人間技じゃないよね!」
「まあ神の子だから」
「自分で神の子って言ったよこの人!信じられない!」
「違う。気がついたらそう呼ばれてたんだよ」
「つまり神の子って呼ばれるくらい強いってこと……?」
「ふふっ」
意味深な笑み。
流し目がとても綺麗で、一瞬目を奪われた。
「っ、」
「顔真っ赤」
「はあ!?ち、違うし!!夕焼けのせいだし!!!」
「へえー、こんなに熱いのに?」
「うわああああ、触らないで!」
「はあ…つべこべ言ってないで帰るぞ。もうじき暗くなる」
「………はい」
二人肩を並べて。
ふざけあいながら歩いた。
この関係が一番心地よい、なんて思いながら。
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「ふう、やっと着いた」
帰り道、夕飯の買い物などをしていたら遅くなってしまった私たち。
急いで買ってきたものを冷蔵庫に入れて、洗濯物取り込んで、お風呂の用意して、ご飯炊いて……
やることはたくさんある。
「先に洗濯物取り込んでくる」
「ああ、うん、お願い」
私が野菜などを冷蔵庫に入れようとしていたら、精市が珍しく自分から家事を手伝おうとしてくれた。
珍しく、というか………私があまり家事を彼にやらせようとしないのだけど。
まあ、お風呂掃除とかトイレ掃除とか、あとは玄関掃除とか、そういう掃除系や雑用はやってもらってるけどね。
そのほかの家事……ご飯作りや洗濯は私の仕事。
ちょうどお米を研いでいたとき、精市は洗濯カゴを抱えて戻ってきた。
洗濯物を広げているところを見ると、どうやらたたんでくれるらしい。
「あー、ごめん、たたんでくれてありがと」
「別にいいよ」
「すごく助かる」
…………おかしい、精市が優しいぞ…!
あっ、こういう時はだいたい何か企んでる時だ!
……でも一体何を企んで………
私が疑いながら彼の方を見た、その時。
ふいに視線が合って、それからまた意味深に笑われる。
「ふふ、お子様なソラでもこういう下着つけるんだ?」
「ぎゃあああああ!!!!」
「………可愛くない叫び方」
そうだっ、今まで精市に洗濯物をやらせなかったのはコレがあるからだった!!!!
「も、もういいっ、私の洗濯物はそこに置いといて!!」
「こう?」
「ちょっ、なんで堂々とテーブルの上に置くの!!しかも下着だけ!!!」
「え?」
「とぼけんなコラァァアアア!!!!」
この変態野郎!
こいつ絶対変態だ
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