「やあ、ソラ」

「…………は!!!!??」



部活中、どうも周りが騒がしいと思って見渡したら、フェンスの向こうに恐ろしいくらい笑顔な彼がいました。


時は遡ること5分前。
私がシングルスの練習試合を終えた位から、遠くの方で女の子たちが騒いでいるのが分かった。
最初はさほど気にしてなかったけれど、なぜか時間が経つにつれて周りの声がどんどん大きくなっていくような……というか近付いてくるような気がして、周りをキョロキョロと見渡す。

すると遠くの方で人だかりが出来ているのが分かった。
やっぱりそれは少しずつ近付いてきていて、やがてテニスコートのフェンス周辺で止まり………

そして冒頭の会話に戻るのです。


精市の周りにはたくさんの女の子たち。
その中心であいつは、にこにこと笑顔でこちらを見てくる。



「ふふ、なかなか頑張ってるみたいだね」

「な、なんでここに!!!?」

「1人でいても暇だからさ」



うう、女の子たちからの視線が痛い……
精市はそれなりに整った顔してるからモテるんだろうとは思ってたけど……これ程とは予想外だ。

無性にイライラする。
もやもやするというか、なんというか。

なんなの?
この気持ちは……
嫉妬??
いや、まさか…まさかね。

だってこんな悪魔みたいな奴、私が好きになるわけ………



「それじゃ、君たちはそろそろ部活に戻って」

「「「えー!?」」」

「すまない。あまり他の子と一緒にいるとヤキモチやく子がいるんだ」



さらりと言ったその台詞に、私はドキッとした。
ヤキモチ………きっとその台詞は私に向けられているんだろう。

しばらくして、女の子たちが不満そうに離れていく。
どうやら精市の言葉を分かってくれたらしい。

全ての女の子が周りにいなくなった頃、私は部長の目を盗んで人気のない場所へと彼を連れ出した。



「一体どういうつもりよ」

「なにが」

「こんな場所まで来て!他の人に誤解されたらどうするの!?さっきだって、あんな台詞…!!」

「でも実際ヤキモチやいてただろ?」

「なっ、そ、そんなわけ……」

「強情だなあ」



そんなこと……私にだって分かってる。
つまらない意地を張ってるって。
でも何故か、この感情の存在を認めたくない自分がいるんだ。



精市のことが好き、だなんて。




初めての部活見学





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